魔物が棲む箱根駅伝予選会の“戦い”とは?
初の地上波生放送で試したい、新たな鑑賞法

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今年から地上波生放送になる、箱根駅伝予選会。スポーツ青春物語ではない、新しい鑑賞法とは?(写真提供:「月刊陸上競技」)

歓喜に沸く集団のすぐ隣には、泣き崩れるチームも。普段はのどかな立川の昭和記念公園が年に一度、異様な空気に包まれるときがある。それが箱根駅伝予選会だ。今年は10月19日(土)に行われ、夢舞台を目指す学生ランナーたちが熱き思いをぶつける。

最高瞬間視聴率は30%を超えて、平均視聴率でも25%以上をキープ。もはや、正月に開催される箱根駅伝の人気を説明する必要はないだろう。しかし、箱根駅伝は関東の大学しか出場できないこともあり、その予選会の激戦は全国的には知られていない。

本大会は地上波で往路・復路とも完全生中継(一部地域を除く)されるものの、予選会は前回まで基本は関東ローカルの録画放送だった。そのため、関東在住以外の人にとってはなじみが薄い。しかも、本大会と予選会では、その戦い方が大きく異なる。そこで、今回は箱根駅伝予選会の“戦い”をさまざまな視点から解説したい。

駅伝の予選会なのに、駅伝をやらない

箱根駅伝に限らず、「駅伝」は1本のタスキを選手たちが順次つなげていく競技だが、箱根駅伝の予選会ではタスキを用いない。では、どうやって通過校を決めるかというと、20kmロード走だ。正確には、各校10人以上12人以下が20kmレースに出場し、そのチームで上位10位までに入った選手の合計タイムで争われる。

2人が不本意な走りをしても、総合成績には関係がないため、ひとりの大ブレーキで順位が一気に転落する可能性のある本大会よりも、精神的には楽に感じるかもしれない。しかし、実際は本戦以上に緊張感が漂っている。また、人数的には余裕があるため、総合力が高ければ通過は堅い気がするが、そんなに簡単なものではない。「予選会は魔物」と表現する監督がいるほど、難しい戦いが待ち構えている。

筆者は過去に通過確実と見られていた大学が、昭和記念公園で涙を流すシーンを何度も見てきた。前回も、トップ通過候補だった東海大が主力選手の離脱により、総合12位と惨敗。40年連続出場の伝統が途切れている。

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