外国人観光客が日本を「面倒」だと感じる瞬間 観光立国フランスに比べて足りないものは?

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観光客は国内外の代理店などで予約をしてから、日本の引換所でチケットを受け取り、さらに実際の鉄道を予約するには「みどりの窓口」を訪ねなければならない。みどりの窓口にありえないほどの行列ができているのはこのためだ。

なぜこのすべてをネットでできないのか。たとえば、欧州におけるJRパスである「ユーロ・レール・パス」は、ネットで予約可能だ。この点、「シンプルさ」に欠けている。

レンタカーを借りるのも大変

さらに、面倒なのはロードトリップである。日本政府は地方の活性化に力を入れているが、たとえば九州や東北、四国などですばらしい場所をめぐるにはレンタカーが必要だ。にもかかわらず、外国人観光客が日本で国際免許をとるのはとんでもない労力がかかる。

日本は、1968年に調印されたウィーン条約の加盟国でないため、たとえばフランス人の運転免許をそのまま利用することはできない(ちなみに、筆者が先日米国で行った際は、事前にネットでレンタカーを予約し、空港で免許すら提示せずに車を借りることができた)。

なので、フランス人が日本で運転したい場合は、日本自動車連盟かフランス大使館から運転免許証の証明書を得る必要がある(料金は3000円)。そして、これもネットでは手配できないし、国外から手配することもできない。「日本のお偉いさんたちは、たった数日しか日本を訪れないような外国人にとって、これがどれだけ非効率的なことかがわかっているのだろうか?」と、あるフランス人外交官は不満を漏らす。

宿泊についても融通が利かない。日本は家族で行くとなると非常におカネがかかる場所だが、その理由の1つは、たいていのホテルや旅館が「1部屋」ではなく、「1人」に対して料金を課すからだ。このため、1人客を受け付けない宿も少なくなく、私の友人も先頃、旅館を予約しようとしたところ、「2人以上でないと受け付けない」と断わられたばかりだ。

また、日本の宿には「3泊すればもう1泊ぶんの宿泊料金は無料といったプロモーションもない」と、日本で外国人向けの旅行代理店ジャパン・エクスペリエンスを展開するティエリー・マンサン氏は言う。

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