発達障害の僕たちが人にあまり言えない本音 当事者3人が座談会で明かした「生きづらさ」

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――病院を受診する・しないの基準は何でしょう?

光武:困っているか、困っていないか。これに尽きますね。

吉田正弘さん(筆者撮影)

吉田:僕の場合は理解のある環境に恵まれていて、そこまで困ることはありませんでした。

山村 光(以下、山村):あと、「慣れ」もあるのではないでしょうか。精神科に行くことに抵抗がある人は、一定数いると思うんです。だから、何かの理由で精神科に慣れている人は受診しやすいのかと。

自ら社会と隔離してしまっている面がある

――山村さんはADHDとASDを併発してらっしゃるとのことですが、なぜ、バーのスタッフになったのですか?

山村光さん(筆者撮影)

山村:発達障害についてネットで調べていたら、たまたま発達障害BARのTwitterアカウントを見つけて、ホームページを見てみたら「スタッフ募集中」とあったので応募しました。お酒はまったく詳しくないのですが、単純にバーへの憧れがあったんです。また、当時失業中で「バイト先どうしよう? でも何か自分の興味があることをやってみたい」と思っていたとき、その両方を満たすのがこのバーだったんです。

――発達障害の人は、社会の中で避けがたい生きづらさと向き合っています。

山村:自分は単純に、世の中はマジョリティとマイノリティに分けるしかないと思うので。生の反対は死と同じで、それ以外はないじゃないですか。半分生きて半分死ぬのはありません。そういう意味ではマイノリティはあって当たり前だと思います。

光武:僕は少し考えが違っていて、「そもそもマジョリティはあるのか?」という疑問がずっとあります。多分、「私たちはマイノリティだ」と名乗っている人も全員が全員マイノリティというわけではなく、マジョリティらしい意識を持っている人も当然存在しています。自分がマジョリティに属していると思っている人の中にも、自分が「そこは受け入れられないだろう」と思って隠しているところがあると思います。

だから、「社会ってこういうものだよね」という常識はあってないようなものです。ある程度の共通性があるかもしれないけど、100人が100人同じものを共有しているかというと、必ずしもそうではない。だから、どこをマジョリティと呼ぶのかという疑問が生まれるので、僕は「これがマジョリティだ」という区分は作れないと思っています。

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