日本語学校化する「夜間中学」の残念な実情 前川喜平氏と歌人・鳥居さんが訴える
「“保護者は”子どもに教育を受けさせる義務を負う、とありますが、主語を“国は”に書き換えたほうがいい。鳥居さんは保護者がいろいろ変わり、養護施設でも虐待に遭うなどして、その責任が果たされていなかった。学校にも行けなかった。そういうとき、保護者に代わって公的機関が入り、子どもが学校に行けるようにするべきです」
前川氏は、夜間中学が日本語学校化していることも問題視している。現在、夜間中学に通う生徒の約7割が、日本語を知らない外国人。そのため、日本語教育からせざるをえない現状があるという。
「高校や大学に行くため、中学校の教科を学びたいという日本人生徒のニーズ。日本語を学びたいという外国人生徒のニーズ。あまりにも違いすぎて、今の夜間中学は応えられていないんです。先生を増やすとか、日本語教室は別に作るとか、文科省が対応していかないといけない」
文科省の後輩たちに、今後の夜間中学のあり方についての課題として、前川氏は訴え続けている。
「これからの夜間中学、ひいては教育のあり方について、鳥居さんが示したことを、文科省や各都道府県の教育委員会、先生たちは正面から受け止める必要がある。(前川氏と鳥居さんは)奇妙な組み合わせではあるんですけど、(このイベントや今後の活動が)日本の教育のあり方を作る機会になれば」
勉強の機会を取り戻したい人たちがいる
前川氏によると、義務教育を終えていない人の数は、日本に百数十万人いるという。勉強の機会を取り戻したい、というニーズを持った人もたくさんいる。当事者である鳥居さんは、そんな人々の代弁者にもなり、“戦闘服”を身にまとって声を上げ続けた。そして前川氏と出会い、“戦友”となった。
夜間中学をはじめとした、教育問題の現状や課題。教育の機会が欲しい、あるいは取り戻したい――そんなすべての方を支援するためには、国や教育関係者だけでなく、われわれ一人ひとりも現状を認識し、声を上げていく必要があるのかもしれない。
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(「キリンの子」より)
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