静岡発で快進撃するオーダースーツ店の正体 縮む市場に立ち向かう「着心地」「お手頃」

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縮小
採寸の様子(写真:アーク提供)

4月になると、ビジネス街では、真新しいスーツに身を包んだ新入社員や就職活動中の学生が目につく。社会人生活が長くなった人も、かつての自分を重ね合わせるかもしれない。

一方、紳士用スーツ市場は、社会全体で進むカジュアル化の影響もあり、2007年度の3099億円をピークに縮小し、2013年度は2183億円となった(矢野経済研究所「アパレル産業白書」)。6年で1000億円近く、約3割も市場が縮んだのだ。

別の調査では、1991年に1世帯当たり年間2万5000円を超えていた「背広、ワイシャツ、ネクタイの合計額」が、2016年には6959円にまで落ち込んだ(総務省統計局「家計調査」)。両調査でも縮小が著しい。その理由は後述する。

「アーク中田店」(写真:アーク提供)

縮小市場の一方で近年伸びているのが、生地を選び、採寸してつくる「オーダーメイドスーツ」だ。かつては富裕層向けのイメージだったが価格も下がり、普通の社会人に手の届く価格となった。そのオーダースーツに取り組み、業績を伸ばす企業がある。それも首都圏や大阪、名古屋といった人口の多い大都市ではなく、地方で独自の手法を開発している点に注目だ。

「地方都市」で顧客を増やせる理由

静岡市葵区にある「アーク中田店」――。場所はJR静岡駅から徒歩25分ほどのロードサイド沿いだ。店内にはスーツの生地が展示されており、「2着で3万9800円」(税別)の格安価格から「1着7万9800円」の高級ブランドまで揃うオーダーメイドスーツの専門店だ。

経営者は、近年、多くの競合が真似した「2着で○円」という販売手法を1992年から始めた。サッカーJリーグ「清水エスパルス」の公式スーツサプライヤーでもある。

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