「他人との距離感」がつかめない人への処方箋 「何かを犠牲にしていないか」がポイント

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では自身のバウンダリーの状態を確認してみましょう。以下の項目にいくつ当てはまるものがありますか? まずは職場に関しての項目です。

①何かを頼まれると、断りたいのに断れないことがよくある。
②人に何かを頼むとき、頼む自分が情けないなどと考えてしまう。
③上司や同僚に「君も同じ意見だよね」と言われ、違う意見でも何も言えない。
④休日も会社ケータイの電源をオフにできない。
⑤有給休暇を取得する際、職場に申し訳ないとの気持ちがつねにある。
⑥それほど親しくない人にも自分の内面を打ち明けてしまうことがよくある。
⑦休日出勤の際には怒りや虚しさを感じる。

次はプライベートについての項目です。

①家族や友人の機嫌が悪いと、自分のせいだと感じてしまう。
②家族や友人が悩んでいると、自分も落ち込んでしまうことがある。
③相手に何かしてあげると、その見返りを求めてしまうことがある。
④自分が我慢していると感じる。
⑤自分には価値がないと感じる。
⑥命令、非難、無視、軽視されていると感じることがある。
⑦したくないことに対し、ノーと言えない。

それぞれの項目の中で3つ以上当てはまるものがあれば、自分自身のバウンダリーを見直す必要があるかもしれません。

バウンダリーの見直し方

バウンダリーを見直すうえでのポイントは2つあります。ひとつはそのときの感情がどうであるかを感じること。たとえば断りたいのに断れない、休みの日なのに会社ケータイの電源を切れずにいる……このような場合、いつものことだと自身を納得させつつも、徒労感やあきらめ、空しさといった、どこか割り切れない気持ちがくすぶり続けることがあります。

あるいは「自分は都合よく利用されている」と傷ついた気持ちや怒りの気持ちが心の奥底によどんでいるかもしれません。なぜこうした感情が湧き起こってくるのかを考えてみましょう。我慢することで大事なものを失っているような気持ちに気づくことができればしめたものです。逆に、こうした負の感情をそのままにし続けると、消化しきれない思いが自分自身の心をさらに傷つけ、不眠や食欲不振といった症状として現れることがあります。

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