病気が早く治る患者はいったい何が違うのか よい病院を見分けるためのポイントとは?

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急性期病院からリハビリ病院へ移る際、一般的には急性期病院から転院先を薦められます。したがって、薦められた病院でよいかどうかを、患者さん、もしくは家族が判断する、という場面が訪れます。

リハビリ病院という存在さえ知らない方も多いのが現状で、ほとんどの場合、急性期病院で紹介された病院を入院先に決めています。とはいえ、リハビリ病院も千差万別。やはり、患者さんのほうから複数の候補を挙げてもらうようお願いし、それぞれの病院を見学することが必要です。そして、必ず治療を担当する医師の話を聞いてください。

病院へ赴くときには、患者さんの病気がどのような状態なのかがわかる検査画像を、急性期病院からCD―R(コンパクトディスク)などにコピーしてもらって受け取り、持参することも大事です。また、急性期病院の主治医の診療情報提供書(いわゆる紹介状)も忘れずに。

同じくリハビリ病院でも、担当の先生が脳などの診断画像を見て、「患者さんの病気の原因はこれで、急性期治療はコントロールできています。現在はこの損傷によってこんな障害をきたしています。リハビリをすればここまで回復する可能性があります」といった説明がしっかりとできるかどうかを見極めてください。

患者さんの全身状態が安定しているかどうかについては、紹介状を見れば医師なら誰にでもわかることです。しかし、脳の画像診断から「いまはこうだけれど、原因を考えると将来的にはリハビリによってどこまで良くなるか」は、日頃から勉強している医師や、信頼できる治療チームでなければ予測できません。したがって、医師の分析によるその展望をきちんと聞けるかどうかがポイントです。本来、患者さんの現状と適切な治療、リハビリ後の回復の程度を把握し伝えることは、当たり前のことなのです。

医師でわかる要注意のリハビリ病院

 医師というのは、たくさんの患者さんを担当することになります。したがって、全てのことに医師が直接関わるわけではありません。リハビリには、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったセラピストがいますし、病気の治療そのものに関しては医師の指示にしたがって看護師が動きます。それ以外にも、ケアワーカー、ソーシャルワーカー、薬剤師、管理栄養士や歯科衛生士などの専門職がいます。

たくさんの職種の医療スタッフがいる中で、患者さんに何が必要で、人材をどのように配置すればうまくいくか、ということを調整するのが医師なのです。いわば、オーケストラの指揮者です。どこのパートの音色が悪いのか、うまくまとまらない理由を医師が見つけて、「そこをちょっと修正しましょう」と指示を出します。

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