46カ月客数減!苦境の「塚田農場」が放つ秘策 佐藤可士和氏と、3月後半に新業態をオープン

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メニューの柱はみやざき地頭鶏(じとっこ)を使用した焼き鳥だ。「塚田農場で提供している地鶏のご当地料理だけだとターゲットが狭い。最高級の地鶏を使っているわれわれが、シンプルに焼き鳥で勝負する」(米山社長)。

店内ののれんには「つかだ」を表す「つ」の文字が記されている(撮影:大澤誠)

内装にもこだわった。「塚田農場がやってきた、いい素材を提供するということをそのまま空間に落とし込んだような考え方」(佐藤氏)で、カウンターやいす、壁などは国産のスギ、ムクノキとステンレスのみで構成。食器やそばちょこは有田焼で一枚一枚、佐藤氏が絵付けした。

客単価は4500~5000円を想定しており、塚田農場よりやや高めだ。新店舗には塚田農場から店長クラスが研修に行っている。新店舗の立ち上げと並行して、東京・田町と横浜の店舗では、焼き鳥職人を育成するための研修も進めている。

魚の新業態店もオープンへ

将来的には、焼鳥つかだで提供する焼き鳥や接客ノウハウを、既存の塚田農場にも導入していくことを狙っている。「ここの焼き鳥と塚田農場で使っている鶏は実は一緒。中目黒には来られなくても、近くの塚田農場にちょっと行ってみよう、ということにつながればいい」(米山社長)。

米山久社長は「旗艦店を設けたからといって、V字回復するというわけにはいかない」と話す(撮影:大澤誠)

今後は、素材にこだわった料理を提供するブランドとして「つかだ」を冠した新業態を横展開していく考えだ。4~5月には魚をメインに据えた「炉端つかだ」をオープンさせる。米山社長は「野菜つかだや和食つかだといったことも当然考えられる。中目黒のあとは新宿や銀座あたりに店が必要かな、というように既存の塚田農場をつかだに変えていくこともありえる」と語る。

ただ、新業態を立ち上げたからといって、業績が急回復するわけではない。「ブランドを再度磨きながら、接客や店を一つ一つ丁寧につくっていくしかない」と米山社長は話す。当面は塚田農場がエー・ピーカンパニーの柱であることに変わりはない。焼鳥つかだを早期に軌道に乗せ、成功モデルを既存の塚田農場に導入できるかが客数回復のカギとなる。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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