東京メトロ副都心線で「忘れ物」すると大変だ 鉄道各社は忘れ物情報を共有していない

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最近、相互乗り入れの電車の遅延拡大が問題になっているが、その電車で忘れ物をすると消費者も鉄道会社もかなりの負担を強いられる現状も無視できない。これは副都心線だけでなく、東京メトロと相互乗り入れをしている鉄道各社に共通しているし、大阪市営地下鉄と相互乗り入れしている鉄道各社も同様だ。また、東海道新幹線と山陽新幹線の場合も、もし、東京発博多行きののぞみ号の車内で忘れ物をすると、JR東海とJR西日本とで情報の共有化はしていないので、両社に問い合わせする必要がある。

モノがあふれる時代、なくしても捜さないということも多いかもしれない。たとえば、100円傘。わざわざ探す人は少ないと思うが、個人の所有物であるので、鉄道会社としても勝手に処分もできない。鉄道各社はそうした膨大な忘れ物に対処しているのだと思う。

技術革新で何とかなるはず

鉄道を利用する消費者の注意も必要だ。もちろん忘れ物をしないことが重要だが、なくすと困るモノには連絡先を書いておくのがいいだろう。見つかる確率は格段に高まるだろうし、鉄道会社の作業も軽減できる。

鉄道各社は、忘れ物情報を文字情報で把握しているのが現状のようだ。消費者の申し出情報と保管物の照合作業も手間だろうし、不可能なことも多いと察する。技術革新の時代、画像情報の導入も検討すべきと思う。そして、電車の相互乗り入れが当たり前の今日、消費者のためにも、鉄道会社の作業軽減のためにも、忘れ物情報の鉄道各社間の共有化は不可欠に思う。国土交通省も監督官庁として一定の役割を果たすべきだ。

細川 幸一 日本女子大学教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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