東京メトロ副都心線で「忘れ物」すると大変だ 鉄道各社は忘れ物情報を共有していない

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さらに手間がかかるのは、基本的に、一度忘れ物の問い合わせをすれば、定期的な報告や見つかったときに鉄道会社から連絡が来るシステムでなく、見つかるまで(あるいは見つからずにあきらめるまで)、何度も問い合わせしなければならないことだ。それが複数社に及ぶのだから、確かに大変だ。

無論、忘れ物をしないことが一番だし、その責任は持ち主にあるわけだが、その公共性から鉄道各社は忘れ物データベース等を作って、遺失物が見つかるように努力している。利益にならない業務であり、それには頭が下がる思いではあるが、こうしたバラバラなシステムは何とかならないのだろうか。

その過大な手間は忘れ物をした乗客だけでなく、鉄道会社にも及ぶ。なぜなら、一回の忘れ物で複数の会社に消費者は問い合わせをするのだから、各社の対応量はかなり増大していると考えられるからだ。また、何回も問い合わせ・対応しなければならないことも消費者、鉄道会社ともに面倒なことだ。

鉄道会社の負担も大きい

この点について、各社に聞いてみたが、バッグ、メガネ、傘、小物など持ち主を明確に特定できない忘れ物が多いこと、また、忘れ物の問い合わせが多くて確実な返答対応義務を負うことができないという事情があるようだ。しかし、こうした状況が逆に消費者の問い合わせ回数を増やし、それが鉄道会社の作業量の増大につながるという側面もあるように思う。

本人の連絡先が書いてあるモノなどは鉄道会社から連絡をくれることもあるようだ。東京メトロではネットでも問い合わせることができる。見つからなくても、一回は返事をもらえるが、それ以降は再び電話するなどして問い合わせをする必要がある。

東京メトロの忘れ物保管の流れは、忘れ物がその日に本人の手元に戻らなかったり、メトロから連絡ができなかった忘れ物は、翌日、飯田橋駅構内にある「お忘れ物総合取扱所」に集められ(夜間のものは、翌々日になる場合がある)、3~4日保管される。それ以降は「警視庁遺失物センター」に移送されるので、なるべくこの期間に問い合わせをするか、お忘れ物総合取扱所に出向き、確認することを東京メトロでは勧めている。警視庁遺失物センターに移送後の忘れ物は、3カ月間保管され、その後処分される。

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