「Now or Never(今でしょ)」で攻めるソニー SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(下)

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まず、いくら危機感から一体運営を進めていくとはいえ、多くの利害が絡む巨大組織を変えるには多くの調整が必要になる。それをやりきれるのかどうか。

たとえば、XperiaZが社内外で評価を高める中、そこに経営資源を集中させている。この施策を継続的なものとし、またスマートフォン開発に携わったエンジニアが古巣の中で新しい製品開発のアイデアへとつなげていくには、事業部間の利害関係整理や貢献者の評価といった部分にまで踏み込む必要がある。

この点について鈴木氏は次のように説明する。「それこそが平井が社長になって経営を始めてから、もっとも大きく変化した部分。2012年4月からUX(ユーザーエクスペリエンス)商品戦略本部となったが、それ以前からも本部長クラスを月に1度は集め、さまざまな議論、アイディア出しを行ってきた。事業の現場に携わる本部長クラスの人間が、商品カテゴリを越えて結びつきを強めている。現場に近いからこそ、具体的かつ効果的なアイディアで商品の枠を越えた機能提案も行われるようになってきた」。

実はこのUX商品戦略本部におけるコミュニケーションの中で、相互貢献に関するパフォーマンス評価やレビューなどを行っており、事業部間の利害についても、綿密に連絡を取りながら”貢献度の見える化”を行っているという。XperiaZの成功や、Z1の高評価を受けて、さらにこの活動は活発になってきたという。

複数のOSを研究

また、Androidに代わる基本ソフトへの取り組みなどに関しても、含みを持たせている。「スペインのテレフォニカと共同開発しているFirefox OSも、またSCEが取り組んでいるVitaOSの開発など、モバイル製品に使えるあらゆるOSに関して、ソニー製品で採用する可能性を否定しない」と鈴木氏は話した。

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