21世紀の「日米貿易戦争」で勝つのはどちらか 日本が国際貿易における新たなリーダーに?

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「トランプ政権は、米国製品や労働者に不利で不公平な貿易および貿易協定とみなすものを攻撃する、と言い続けているが、これは本気だ」と、元通商交渉官で自由貿易政策を批判するクライド・プレストウィッツ氏は言う。「今後は、(トランプ政権が)貿易において間違っていると見なすものを正そうとする方向に進むのではないだろうか」。

日本に関しても著書が多いプレストウィッツ氏は、こうした中で、新たに自由貿易におけるリーダーシップをとろうとしている日本については楽観的な見方はしていない。

日本が新たな国際秩序で覇者になれるか

「国際貿易政策において日本が主導的役割を果たすとは思わない」と、プレストウィッツ氏。安倍晋三首相がTPPを受け入れた主な理由は、これを日本の農業を改革するため、また中国に対抗するための手段として利用したいと考えたからだ、と同氏は見ている。

「日本経済は、大部分が輸出によって再び成長しています。日本の経済は昔よりはるかに開かれたものになっているが、それでもまだ米英がいうところの開放経済ではない。なので、私には日本がいわゆる『自由主義的な世界秩序』の重要な勝者になれるとは思えない」

トランプ大統領が政権についてから最初の数時間でTPPの撤退を決めたことの衝撃を受け、TPPを生き残らせようとした安倍政権の決意は、米国が最終的に協定に戻ることをある程度期待してのことだった。協定の新バージョンには、主に米国が求めていた知的財産権および投資ルールの保護に関する旧契約の重要な部分が明確に残されている。

米国に協定に戻るインセンティブを与えるとともに、米国がTPP11の「フリーライダー」となる、つまりTPPに参加せずに協定の利益を得ることを防ごうとする措置である。

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