資生堂が「強気な中期計画」を発表できる事情 年平均8%増収、利益率10%超を目指す

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新しい中期計画を発表する魚谷雅彦社長。その表情は自信に満ちあふれていた(編集部撮影)

「今までの足元の状況を見ると、正直もっと売上高は伸ばせると思っている」。資生堂の魚谷雅彦社長は自信に満ちあふれた表情で、2020年までの目標を高らかに宣言した。

3月5日、資生堂は中期経営計画「vision2020」の更新版を発表した。売上高は年平均8%増の1兆2000億円超(2018年度見込み1兆0330億円)、営業利益率10%以上(同8.7%)を目標に掲げた。

当初は2020年までに売上高1兆円を掲げていたが、昨年度その節目を3年前倒しで達成、今回改めて目標数字を設定し直した。足元も好調で、1月の売上高は国内外合計で前年同月比約2割伸びたという。成長のモメンタム(勢い)が続いており、今回の計画はその勢いがそのまま現われた格好だ。

「SHISEIDO」で大型リニューアル

1兆2000億円超のトップラインをどう達成するのか。魚谷社長がしきりに強調したのは、プレステージ分野の強化だ。プレステージとは百貨店や化粧品専門店を中心に展開する高価格帯のブランド類のこと。カウンセリングを通した販売を行う。

プレステージを代表するのが、社名を冠する「SHISEIDO」ブランドだ。「SHISEIDO」の高級美容液「アルティミューン」は、中国人の人気が根強く、インバウンド需要も後押ししている。

それでも魚谷社長は「今伸びているのは圧倒的にスキンケアで、メーキャップはまだ弱い」と口にする。「SHISEIDO」のメーキャップは、テコ入れを図るため今年中にも大型リニューアルを行う予定だ。

同じくプレステージ分野で中国人からの人気の高い「クレ・ド・ポー ボーテ」は、中国や空港免税店での強化に加えて、欧州市場への再挑戦も図る。さらにはM&Aも検討中で、プレステージ分野全体の押し上げを図る。

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