学校で週2回も発砲事件が起きる国のリアル 米国で銃規制に反対する人たちの言い分は?

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そこには、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを冒してはならない」という一文がある。この文書が物語るように、銃所持肯定派にしてみると、法律を遵守している普通の市民が、自衛のために武器を保有することを奪うことは違憲であるという結論になるわけだ。

ではいったいどのくらいの人たちが、自衛のために武器を生かしているのだろう。首都ワシントンに本部のあるケイトー研究所の発表によると、殺人、強姦、暴行、強盗など自己防衛のために一般の人が銃を利用する件数は、毎年数万から最大200万に及ぶ範囲とされている。

つまり、銃があったおかげで自衛できたという数は、決して少なくはないのだ。毎年これだけ多くの人たちが、銃を所持していたおかげで自己防衛ができているとするなら、単純に「銃は廃止すべきだ」とは言えないと主張する人の言い分も簡単には否定できない。

出掛けるときは銃2丁しのばせる

もっとも銃の所持率が上がるほど、犯罪率が上がるというデータも存在する。それはボストン大学のマイケル・シーゲル教授らが2013年に発表した研究結果だ。1981年から30年間にわたり行われた全米50州を対象とした調査において、銃の所持率が1%上がるごとに、銃器による殺人の発生率が0.9%上昇した地域もあったという。ちなみに同研究発表では、州ごとの統計は発表されていない。

先述の義理母は元刑事なので、悲惨な現場を数限りなく目にしてきている。そのため「この世は表面上見えているものがすべてではない」と会うたびに語る。ある意味「職業的トラウマなのだ」と本人も認めてはいるが、彼女は24時間いつでも銃へのアクセスがないと、不安になってしまうらしい。

夜寝るときでも、枕元には必ず銃。近所に買い物に行くときでさえ銃1丁。そして都市部など、犯罪率が高い地域に行く場合は持っていく銃の数が増える。一度2人で出かけた際に、一瞬バッグを持ってほしいと頼まれたところ、手渡されたバッグがあまりに重いので理由を聞いたら、中から銃が2丁顔をのぞかせていたことがあった。

これには思わず腰を抜かしそうになってしまった。しかし彼女にはあっさりと冷笑されてしまい、「あなた、好き好んでアメリカに移民してきたのだから、アメリカの現実は受け入れなさい。銃社会が嫌だのなんだの言って、子どもたちを守る責任を放置したら、母親失格。子どもと出かけるときは必ず銃は携帯しなさい」と脅されてしまった(もちろん彼女のアドバイスは無視している)。

次ページしかし、そんな義理母が驚くべき活動を!
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