外国人が熱狂する「田舎では普通の光景」7選 「当たり前のもの」こそ観光資源になる

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その①「やっと、見られた!」日本全国に広がる田園風景

飛騨里山サイクリングは、飛騨古川の町並みをスタートし、周辺の農村部に漕ぎ出すプログラム構成になっている。スタートして最初は街中を走り、それから川沿いの道を走るが、間もなくすると田んぼが広がる田園風景にたどり着く。その光景を見た外国人は「ようやく出会えた、この風景!」と驚嘆する。

何げない田園風景も、彼らにとっては「写真におさめたくなる」風景だ(写真:SATOYAMA EXPERIENCE)

世界中の主要空港でさえ寿司を食することができ、日本酒も世界を駆け巡る昨今、それらの原料であるコメは、興味の対象でありながら、あまりその実態についての説明はされていないようだ。小麦が主食の文化圏から来た人にとっては、そもそも田園風景はなじみがなく、初めて目にする人も多い。

フランス農村部のワイナリーツアーに参加した日本人はそれなりの数に上ると思われるが、それと同様、食文化として身近になりつつある食材が育つ風景やそれにまつわるストーリーは、多くの人々にとって興味深いコンテンツとなりうるのかもしれない。

「当たり前の自然」は当たり前ではない

その②「もうエエさ!」雪国飛騨の人々を苦しめる雪

飛騨は12月中旬から雪に覆われる雪国である。今シーズンは例年に比べ早めに降り始め、スキー場関係者は喜ぶものの、町に住む住民には屋根の雪下ろし、出勤前のクルマや路上の雪かきなどの余分な仕事が増える。終わりのないその作業に、「もう要らんぞ!」と天を見上げてつぶやく飛騨びとの姿は冬の飛騨では珍しくない光景であるが、外国人の中には、この雪そのものが魅力と映ることもあるようである。

地元民を苦しめる雪も、貴重な「観光資源」だ(写真:SATOYAMA EXPERIENCE)

昨シーズンから開始したスノーシューツアーには冬に日本を訪れる香港などの旅行者を中心に多くの予約が入るようになってきている。宿泊施設の前を笑顔で雪かきをしながら、インスタグラムに投稿する写真を撮る姿は、飛騨高山の朝の定番のシーンとなった。北米や欧州では一般的なスノーシューというアクティビティはオーストラリアにはないらしく、また雪が降らない生活圏から来た外国人にとっては、雪の存在だけで滞在の理由となるようである。

また、「飛騨里山サイクリング」に参加したオーストラリア人からは、「この川は年中これだけ多くの水量で流れているのか?」と羨ましそうに問いかけられたこともある。真意を聞くと、「わが町の川は雨期にしか流れない」とのこと。雪や川の流れなどの「当たり前の田舎の自然」は、外国人を魅了する要素になりうるようである。

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