QE縮小後ずれ観測がドル圧迫

業績期待で日本株は下げ渋り

10月4日、米国で政府機関閉鎖が長引けば経済を下押し、米量的緩和縮小が遠のくとの見方から、ドル安/円高が進行し、日本株を圧迫している。写真は1月、ソウルで撮影(2013年 ロイター/Lee Jae-Won)

[東京 4日 ロイター] - 米国で政府機関閉鎖が長引けば経済を下押し、米量的緩和(QE)縮小が遠のくとの見方から、ドル安/円高が進行し、日本株を圧迫している。早期解決の可能性もあり、ショートポジションは膨らんでいないが、一向に歩み寄りがみられない米議会を警戒して、リスクオフムードが強い。

ただ、国内では中間決算発表における業績上方修正への期待も根強く、日経平均<.N225>は下げ渋る動きもみせている。

<閉鎖長引くほど強まるQE縮小後ずれ観測>

米国の政府機関閉鎖は長期化すればするほど、米経済の成長率を押し下げる。複数の試算の中では、1週間の閉鎖で国内総生産(GDP)を0.1%、3週間なら0.3─0.5%押し下げるとの見方が多い。

米国の4─6月期GDPは年率2.5%増。市場では「2%を切ってくれば、QE縮小はかなり難しくなるだろう。こうした見方がドル安/円高の一要因となっている」と、三菱東京UFJ銀行・金融市場部戦略トレーディンググループ次長の今井健一氏は指摘する。

実際、米連邦準備理事会(FRB)関係者からは、米経済や市場への影響を懸念する声が相次いでいる。

米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は3日、米政府機関の閉鎖について「長引けば、少なくとも第4・四半期の成長に一定の無視できない影響が及ぶとみられる」と語った。

米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は3日、政府機関閉鎖が比較的短期間であれば経済に著しい影響は及ばないだろうとしながらも、米経済やドルに対する信頼感が損なわれることのほうが、大きな懸念材料だと指摘している。

QE縮小決定を判断するうえで重要視されるはずだった9月雇用統計の発表も政府機関閉鎖で延期され、「10月はもちろん、年内のQE3縮小観測も大きく後退してきた」(国内銀行)という。

ドル・インデックス<.DXY>は今年2月以来の低水準で推移。ドル/円は前日の海外市場で8月28日以来となる96.93円まで下落した。東京市場では97円台に戻しているが、「いずれ米政府機関閉鎖や債務上限問題は解決されると市場はみているが、1日1日と米政府機関閉鎖が長引けば、その分だけ米経済は圧迫される。そしてその分だけ、じわりとドル安が進む構図だ」(野村信託銀行・資金為替部次長の網蔵秀樹氏)という。

<業績期待で消えない楽観>

米株安と円高を嫌気し、前場の日経平均は一時、200円を超える下落となり、約1カ月ぶりに1万4000円を割り込んだ。業種別株価指数では33業種中30業種が下落、東証1部全体の7割強が値下がりするなど軟調な展開だ。

ただ、断続的な先物売りが一巡すると下げ渋る様相もみせている。日経平均は、前場終値では1万4000円を上回って引けており、後場は10円安の水準まで下げ幅を縮める場面もあった。

日本株の下値を支えるのは業績期待だ。9月日銀短観における2013年度の大企業・製造業の想定為替レートは94.45円。足元はやや円高気味とはいえ、97円付近はまだ「余裕」がある。4─6月期時点ではためらった企業も中間決算時点では、上方修正に踏み切るとの見方が多い。

日本精工<6471.T>など先んじて2014年3月期の業績予想を上方修正した企業の株価は、堅調に推移している。好調なのは自動車関連だけとの指摘もあるが、消費関連やスマートフォン関連企業の業績上積みへの期待が大きい。

SMBCフレンド証券・投資情報部シニアストラテジストの松野利彦氏は「国内では中間決算を控え、企業業績が上方修正される公算が大きく、株価の支援材料となる。日経平均のPERは15倍台であり、過去の平均から比べると若干割安な水準。業績上方修正で割安感がさらにクローズアップされれば、押し目買いが強まるだろう」との見方を示している。

米政府機関閉鎖が長引いて米経済が圧迫され、QE延長観測からドル安/円高が進めば、国内企業の業績上方修正期待も後退するため警戒が必要だ。

しかし、米経済の体力は強く、中国や欧州の経済も持ち直しの兆しみせている。日銀の追加緩和期待もあり「一時的な調整があっても大崩れはない」(岡三証券・投資戦略部シニアストラテジスト の大場敬史氏)との楽観も消えていない。

(伊賀 大記 編集:田巻 一彦)

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