みずほの反社取引問題対応に非難相次ぐ 財界からも厳しい視線、取引先にも影響か

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上場審査でネガティブ材料にも

それどころか、近年、企業が株式を上場する際には、反社取引の存在が上場審査上のチェックポイントになっているだけではなく、「反社取引を行っている企業との取引」の存在まで確認され、その解消が要請されるようになっている。

つまり、理屈の上では、反社取引を行って、それを放置し続けたみずほ銀行と取引していることは、上場など企業の最重要課題を実現する過程ではネガティブな材料にもなりかねないわけだ。

こうした感覚がみずほに明確にあるのかどうか。事件の発覚から一週間、経営陣、なかでも経営トップが世の中に対してその対処策を公式の場で明らかにしなかったことは、みずほの感覚が鈍かったという結論にならざるをえない。

みずほは過去、2度にわたるシステムトラブルにおいて、コンティンジェンシープラン(非常時計画)の策定と、その実行が鈍かったことから厳しい批判を受けた。それと類似した危機意識の鈍さのようなものを今回も感じざるを得ない。

ちなみに、4日17時から行う記者会見は、経営トップである佐藤康博頭取ではなく、岡部俊胤副頭取が行う予定だ。 

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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