社長の僕が40歳を過ぎて大学院に通ったワケ ストライプ石川康晴社長が語る「学び直し」

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――実際に大学院に行って得られたことは?

4年間通って感じていることは、一言で「行ってよかった」。今は最終学年なので、週1か隔週で京都に行って授業を2コマ取っていますが、1年生のときは週に3回、12コマ入れていました。

石川 康晴(いしかわ やすはる)/ストライプインターナショナル社長。1970年岡山市生まれ。1994年にクロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)を創業。経営のかたわら、2013年岡山大学経済学部卒業、2014年から京都大学大学院に在学中(撮影:梅谷秀司)

何がいいかというと、まず会社から抜け出す時間があること。会社にいると、30分刻みで会議、商談、取材。LINEやメールも用を足している30秒で1本返すほど意思決定やアウトプットの連続で、考える時間がなくなります。

新幹線で東京から京都に行く2時間半は一見無駄ですが、頭を整理するのに最高です。名古屋辺りでいい経営のアイデアが浮かび、最後の40~50分でまとめる。社員には「いつも会社にいない」と怒られますが、逃げるきっかけがないといいアイデアは生まれません。

大学院で学んでいる人を見ていると2種類います。学歴やMBAのタイトルがただ欲しいという人はダメで、いかに使うかが大事。ゼミでは有名コンサルティング会社出身の教授がマンツーマンで指導について、僕の事業へのアドバイスをくれます。寝る暇がないほど刺激の連続で、それがほとんど全部、翌日の仕事に生かされます。

今はちょうど最終試験の最中で、修士論文のテーマはシェアリングエコノミー。会社のリアルデータを突き合わせて、論文にまとめました。服を定額で借り放題にする「メチャカリ」というサービスも大学院の中で生まれたんです。

「ありがちな会社」になりそうだった

――2008年から5年間、岡山大学経済学部にも通っていますね。

それは売上高が100億円を超えたときです。社長が情緒的に自分の成功体験だけを社員に語っていたら、朝礼が長いのに何を言っているのか分からず貧血になる、「ありがちな会社」になりそうでした。当時は40手前ぐらいの年齢でしたが、もう1回経営を基礎理論から学ばないといけないなと思いました。

もう一つの理由は学校に行けば、学生と触れ合ってリアルな感覚も身につけられると思ったことです。僕たちはF1層(若い女性)のマーケティングをして商売する会社なのに、ほとんど10代後半~20代前半の人たちとの接点がなくなっていました。実際に行ってみるとすごく良くて、周りが18歳とか19歳の子たちの中にスーツを着た自分が一人だけいる。

学部は124単位、4年間で60以上の講義を受けなければいけません。これは吐きそうなほど大変で、卒業には5年間かかりました(笑)。だけど、基礎を学んだ上でMBAに行ったので、ついていけました。20代~30代前半でMBAに行くのだったら、わざわざ学部に行かなくてもいいと思いますが、40歳前後ではMBAに行くとなると遠回りも必要です。

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