これがB型肝炎にかかった子どものミイラだ 500年前のミイラに新たな疑い
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ナポリの教会に埋葬されている、500年近く前の子どものミイラ。その乾いた顔には発疹のあとが残っており、イタリア・ルネサンス期に天然痘が存在したことを示す最古の証拠と考えられていた。
しかし、最初の調査が行われてから数十年が経った現在、ある科学者のグループがこのミイラを調査し直し、この子どもが別の災難に見舞われた可能性が高いことを発見した。B型肝炎ウイルスだ。
2歳の子どものミイラを調査
今年1月に医学誌『PLOS パソジェン(PLOS Pathogens)』に発表されたこの研究では、人間がB型肝炎ウイルスに何世紀も苦しめられてきた証拠が示された。世界保健機関(WHO)によると、現在、世界では2億5000万人以上がB型肝炎ウイルスに慢性的に感染しており、2015年には感染者のうち90万人近くが主に肝臓の疾患により死亡したという。
シドニー大学の進化生物学者で、この論文の執筆者の一人であるエドワード・ホームズは、「このたちの悪いウイルスは、少なくとも500年前には存在していた。私は、何千年も前から存在していたのではないかと考えている」と話す。
ミイラ化された子どもは16世紀に2歳で死亡し、ナポリのサン・ドメニコ・マッジョーレ教会に埋葬された。研究者らは、この幼児のミイラを調べるのは感情的につらかったと話す。
「そこにはまだ空虚感や苦しみが残っていて、科学者の視点で見ると興味深いが、親の視点で見ると恐ろしかった」。カナダのマクマスター大学の進化遺伝学者で、論文執筆者の一人であるヘンドリック・ポイナーはこう述べた。