独立コンサルタントの「新しい働き方」とは? みらいワークス社長にロングインタビュー

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朝倉:御社はプロジェクトの額に対して、どの程度の仲介料を取ってらっしゃるのですか? 伝統的なコンサルティングファームの場合、パートナーであるか否かによって、個人が得る収入は雲泥の差があります。コンサルタントが独立して「直接やるとこんなにフィーをもらえるの?」と驚くというのはよく聞く話ではありますが、御社の場合、プロジェクトからはどれくらいの仲介料を取っているのですか?

岡本:ターゲットを20%と設定しています。昨年度の粗利率ですと19%くらいです。これが高いか安いかは人によって違うと思います。「高い」と言う方もいれば、「仕事を取ってきてもらってるから、それくらいとってもらってもいい」と言ってくださる方もいます。ただ、我々がこれ以上取ってしまうと、取り過ぎだと思うのでは、このくらいがちょうどいいんじゃないかと考えています。 今は、みらいワークスの社員もプロジェクトに常駐して、プロジェクトマネジメントをするケースもあるので、そうすると2割だと低いかもしれません。今後、プロジェクトのかたちによって変わってくるのかなとも思います。

朝倉:御社はいわゆるコンサルティングファームではありませんし、単純な横比較はできませんが、コンサルティングファームで働く人の感覚からすれば、プロジェクトの価格の20%という仲介料は、非常に安く感じられるでしょうね。

仕事のチャンスを提供していたらビジネスになった

小林:どういった経緯で、プロフェッショナル人材の働き方ということに注目されたのですか?

岡本:最初から狙ってこのビジネスモデルを作ったわけではありません。当初は失敗も繰り返していました。例えば、システムの請負に近いようなビジネスをやったこともありますし、エンジニアの派遣を行っていたこともあります。試行錯誤した末に、このビジネスモデルになりました。

(写真:Signifiant Style)

私はコンサルを辞めて、10年前に起業したのですが、仕事を取っているうちに、自分では手がまわらなくなり、周りの人に頼むようになったんです。そしたら、頼んだみなさんから「ありがとう」と言われたんです。

コンサルタントとしてお客様から「ありがとう」と言われたことはありましたけど、それよりも、人にチャンスを提供して「ありがとう」と言われるのが嬉しくなってしまいました。「俺はこっちのほうが良いや」と思ってやり始めたのがきっかけです。

また当時、マッキンゼー出身の小川政信さんという方と一緒にプロジェクトをやる機会があったのですが、彼はすごく仕事ができるんです。頭が良すぎて、ロジックの組み立てについていけない。個人コンサルタントとしてやっていこうと思ったら、究極的には、こうならないといけないのか、これはどうやっても無理だなと思ったんです。一方で、自分より優秀なコンサルタントは世の中にこんなにもいるんだから、その人達に場を提供するほうが、よっぽど世の中のためになるじゃないかとも思い、今のビジネスモデルができたのです。

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