両備・岡電「赤字バス4割廃止」届け出の真意 ドル箱路線に競争相手が低価格で攻勢
岡山県を中心に交通事業などを展開する両備グループ傘下のバス事業者、両備バスと岡電バスは2月7日16時と同8日9時、両社の路線バス網の約4割にあたる路線を廃止するとの届け出を、中国運輸局宛に提出した。
廃止を申請したのは、両備バス全36路線中18路線と、岡電バス全42路線中13路線だ。両社はいずれも岡山市中心部にある岡山駅前と百貨店の天満屋を中心とした路線網を有しているが、両備バスが郊外への路線なのに対して、岡電バスは市街地の路線とそれぞれの性格が異なっている。その郊外への路線の実に半数、市街地路線の岡電バスを含めても約40%の廃止届けは、異例中の異例だ。
異例の「廃止届け出」の理由は?
この廃止届け出に続き、2月8日午前には岡山市内の両備ホールディングス本社で緊急記者会見が開かれた。会見には両備ホールディングス会長兼CEOの小嶋光信氏、代表取締役専務でバスグループ長の原雅之氏、岡山電気軌道と和歌山電鐵の代表取締役専務の礒野省吾氏という、両備ホールディングスの交通事業のトップが揃っていた。
この記者会見は前日に急遽決まり、筆者もあわてて岡山まで足を運んだ。それほど緊急の会見が開かれたのは、かねてより低価格均一運賃で岡山市内の既存事業者と競争関係にあった岡山市中心部循環バス「めぐりん」が、両備グループの主要幹線である西大寺線と全く同等の路線営業を申請し、それが認可される見通しとなったためである。結局、この申請は会見が行われた同日の夜に認可された。
今回、両備グループは、路線を廃止したくて廃止するのではない、厳しい地方交通を維持するために廃止届けをしたと説明した。西大寺線に「めぐりん」の競合路線が開設されるとどのような影響が生まれるのか。まず、西大寺線がどのような路線なのか歴史を振り返ってみよう。
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