史上最大級「巨大ロケット」がついに宇宙へ スペースXが開発、その名もファルコンヘビー
1969年7月16日、米フロリダ州にあるNASA(米航空宇宙局)のケネディー宇宙センターで、高くそびえ立ったサターンⅤ型ロケットが39A発射台に設置された。午前9時32分、1段目の巨大なF1エンジン5基に点火されると、オレンジの炎と黒い煙が吹き上がり、約3400トンの推力で3人の宇宙飛行士が搭乗したアポロ11号を宇宙に打ち上げた。バズ・オルドリンとニール・アームストロングが月面に着陸したのはそれから4日後のことだ。
それと同じ発射台で今、イーロン・マスクが創業した宇宙開発企業スペースXの技術者らが、サターンⅤ型以来、打ち上げ能力が世界最大とされるロケットの初飛行の準備に取り組んでいる。
テスラ「ロードスター」も宇宙へ
そのロケット「ファルコンヘビー」は、低軌道に約63トン以上のペイロード(積荷)を投入することが可能で、その重量は競合他社の既存のロケットの2倍以上だ。
本番の数週間前に実施される予定の試験打ち上げでは、奇抜で、マスクにとってはクロスプロモーション的なものが搭載される──自身が創業した電気自動車メーカー「テスラ」の真っ赤なロードスターだ。車は火星の軌道に投入され、太陽の周りを永遠にまわるだろう。
マスクは昨年12月にツイッターにこう投稿している。「(デビッド・ボウイの)『スペース・オディティ』を流しながら私のミッドナイトチェリー(色)のテスラ・ロードスターが搭載される。行き先は火星の軌道だ。爆発しなければ10億年にわたって深宇宙を飛び続けるだろう」
ロードスターを宇宙に飛ばす理由を尋ねられたマスクは、「車がほぼ永遠に宇宙を旅し、何百万年か後にエイリアンに発見されるかもしれないというアイデアが気に入っている」とツイッターで答えた。