中国でIT人材の「争奪戦」が激化する事情 トップクラスの給与水準は米西海岸に迫る

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 1月25日、中国で人材獲得競争が激しさを増している。サイバーセキュリティー強化やオンラインコンテンツの検閲、そして人工知能(AI)でこの国を世界一にするため、何万人もの雇用が急がれている。写真はコンピューターのコードと中国の国旗。昨年7月撮影(2018年 ロイター/Thomas White/Illustration)

[北京 25日 ロイター] - 中国で人材獲得競争が激しさを増している。サイバーセキュリティー強化やオンラインコンテンツの検閲、そして人工知能(AI)でこの国を世界一にするため、何万人もの雇用が急がれている。

中国政府がテクノロジー分野における急速な発展を目指す中で、新興企業と成熟企業の双方に、資金が流れ込んでいるためだ。

「企業には潤沢な資金があり、人材獲得競争が激化している」と語るのは中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ)<BIDU.O>の元最高経営責任者(CEO)で現在はAIに特化したファンドを運営するThomas Liang氏だ。

1.5倍から2倍の給料を提示

同氏によると、AIのようにホットな分野の新興企業が、名の通ったテクノロジー企業から社員を引き抜くには、1.5倍から2倍の給料を提示しなければならない場合も多いという。

写真は2017年4月、北京で開催された国際展覧会で登場したロボット(2018年 ロイター/Jason Lee)

両社合わせて1兆ドル(約109兆円)超の時価総額を誇る電子商取引大手アリババ<BABA.N>とネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)<0700.HK>を筆頭に、中国企業がテクノロジー業界の世界舞台に躍り出たことで、雇用ブームや賃金上昇を引き起こしている。

トップクラスの人材の給料はシリコンバレーの水準に近づきつつある。

こうしたことは、高賃金の雇用を創出し、バリューチェーンの上流を目指そうとしている中国政府を喜ばすだろう。だがその一方で、テクノロジー分野以外の賃金が伸び悩み、また、同分野の求人や所得拡大が北京や深センなどの大都市に集中する傾向があるため、中国での所得格差を拡大する恐れもある。

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