トランプ氏の「ロシア疑惑」大統領聴取の意味 本人は「楽しみにしている」、捜査は山場に

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ロシア疑惑を巡って、特別検察官による聴取にトランプ大統領本人が、応じる意向を示したことを米東部時間の1月24日午後6時すぎ(日本時間25日午前8時すぎ)、米メディアはこぞって速報した。

ロシア疑惑は、米連邦捜査局(FBI)が2016年から捜査を開始。2017年5月、捜査を主導していたFBIのコミー長官が解任されると、元FBI長官であるムラー氏が特別検察官に任命にされ、捜査をリードしてきた。

ロシア疑惑は、大まかにいって2つの側面がある。

一つは、2016年の米大統領選挙で、ヒラリー・クリントン氏の当選を阻もうとしていたロシア政府側と、トランプ陣営が共謀し、情報をやりとりしながら、民主党本部へのハッキングなどを行っていたのではないかという疑惑だ。

もう一つは、FBIによるロシア疑惑の捜査を、トランプ大統領本人が妨害していたのではないか、という司法妨害についての疑いだ。昨年5月、コミーFBI長官を解任した際、トランプ大統領は米テレビのインタビューで、ロシア疑惑のことを考えた、と明かしている。

また、コミー氏は、在職中の昨年2月にトランプ大統領と面会した際、ロシアとのつながりにからんで更迭された右腕のフリン・国家安全保障アドバイザーについて、「トランプ大統領から、(フリン氏の件は)放免してくれ」と依頼された、と証言している。こうした大統領の行動が実際にあったのかどうかや、これらが司法妨害罪に当たるのかどうかが、焦点になっている。

「司法妨害罪を中心に聞くのではないか」

米メディアでは、ムラー特別検察官は、大統領の聴取にあたって「司法妨害罪について中心に聞くのではないか」と取りざたされている。

ムラー特別検察官のチームは先週、セッションズ司法長官への聴取をおこなった。トランプ政権の閣僚に対して初めての聴取で、ロシア疑惑の捜査は大きな局面を迎えている形だ。

セッションズ氏は、昨年5月のコミーFBI長官の解任の手続きに関わっている重要人物である。セッションズ氏は、トランプ大統領が昨年2月にコミー氏に「(フリン氏を)放免してくれ」と頼んだ際、依頼が行われる直前まで同席していたともいわれている。

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