壇蜜「仕事に楽しさ求めない」と言い切る理由 "自分らしく"という幻想に押し潰されないで

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仕事に楽しさを求めない。言葉にすると、すごくショッキングだ。だが、一度それを認めてみると、なぜだろう、不思議と心が軽くなる気もする。

「悩みを持っている自分を愛して」

やりたいことをやらせてもらえない。自分らしく働けていない。

こういった悩みは20~30代の女性たちにはつきものだ。「でも、それってとても幸せなことだと思う」と壇蜜さんは話を続ける。

「なぜならそれは、周囲から求められている自分の像がある証拠だから。誰からも何も思われていない人は、そんな悩みを持ちません。だから、まずは悩みを持っている自分を愛してほしい。そして変に急いで悩みを解決しようとする自分にブレーキをかけてほしいなと思います」

私たちが、こんなに息苦しく感じるのは、小さな水槽の中で無理に深く潜ろうとし過ぎるから。一度、力を抜いて浮上してみれば、案外すぐ真上に空は広がっているのかもしれない。綺麗な星が見えるのかもしれない。そんな心の余裕を持つことの大切さを、壇蜜さんは教えてくれる。

「輝きたいとか、楽しみたいとか、願う気持ちも分かりますが、まずは一度それを封印してみてはどうでしょうか。そして今、自分の周りに何が見えるか探してほしい。特に、ずっと会社にいて同じ環境から出ていないと、どうしても視野が狭くなりがち。だから何か行き詰まりを感じているときは、ボランティアでもいいし、パラレルワークでもいいから、自分とは違う価値観を持った人たちが集まる場に足を運んでみることをオススメします。客観的な視点を持つことで、今の自分がどれだけ幸せか、気づけるはず。そんな“異形の血”を体内に入れる勇気を持つのも一つの手です」

「会社員経験のない私がこんな話をして、読者の皆さんのお役に立てたでしょうか……」、取材後そう心配そうに壇蜜さんは尋ねた。そんな些細なやりとりからも、壇蜜さんがいかに周囲の期待を読み取り、求められる役割を粛々と演じてきたかがよく分かる。そんなプロ精神が、壇蜜さんをただの一発屋的キャラクターで終わらせなかった最大の要因だろう。

自分が輝くことばかりを優先させるから仕事が苦しくなる。まずは、求められているものを高い精度で返すこと。その積み重ねが、あなただけのキャリアを形づくるのだ。

〈取材・文:横川良明 撮影:洞澤佐智子(CROSSOVER)衣装:セ・ラ・ヴィ/ミレーヌトモダ〉

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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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