モバイルも、動画も。高まるグーグル・ジャパンへの期待

モバイルも、動画も。高まるグーグル・ジャパンへの期待

グーグルは、グローバルマネジメントの単位として4極体制を取っている。その4極とは、ニューヨークが統括する北米、マウンテンビューに統括責任者を置くAPLA(アジア・太平洋、ラテンアメリカ)、ロンドンが統括するEMEA、そして日本だ。

4極の代表者をつないでビデオ会議を行うことがしばしばあるが、他の3極の勤務時間に合わせると東京は夜中の2時、3時になってしまう。そのため、日本法人の村上憲郎社長は眠い目をこすりながら会議に参加せざるをえない。

面積、GDP、人口などを比べると、他の3極と比べ、日本だけ規模が小さい。にもかかわらず、なぜ日本は一つの独立した極として位置づけられているのだろうか。それは創業者の2人が、日本の技術を外交辞令やお世辞ではなく、本気で高く評価しているためだ。

米国の先を行く日本 将来を決める新事業

2004年、米国以外の最初の研究開発拠点設置場所として選ばれたのはインドのバンガロール、スイスのチューリッヒ、そして東京だった。東京に研究開発拠点を置く理由は、「ブロードバンドやモバイルで先行する日本に拠点を置くことで、米国より数年進んだ技術を開発できるからだ」(サーゲイ・ブリン氏)。

米国の数年先を行く日本市場に合わせて新しいビジネスモデルを構築すれば、それを参考にして世界中に横展開できる、というのがグーグルの考え方。つまり、日本法人は数年後のグーグルのあり方を決めるほどの影響力を持っているわけだ。

確かに、日本は特異な発展を遂げた「不思議の国」である。特に携帯電話による3Gインターネットの利用者数とサービスの質量で、日本は世界を圧倒。技術に精通しているグーグルのエンジニアたちにとっても、日本のモバイルは未知の世界だ。そのため、海外から来日したエンジニアに、高品質の薄型端末を見せ、ワンセグTV、QRコード、モバイルスイカなど多彩な機能を見せると、みな大興奮するという。

モバイルに取り組むためにグーグルがまず行ったのが「真摯に学ぶこと」(村上社長)。パソコンからオープンな形でインターネットにアクセスすることに慣れたグーグルにとって、日本のキャリアが進めている囲い込みの文化は異質なものだ。

「パソコン自体がモバイル化していく、というのが、グーグルの基本的な考え方。しかし携帯電話からケータイへ、という流れのほうが圧倒的に先行している。行きすぎなくらいに先端を行っている日本から多くのことを学びたい。そのために、パートナーシップを最も重視している」(村上社長)。

すでに、本業中の本業である検索においてKDDI、続いてNTTドコモとの提携を実現した。ヤフーの親会社がソフトバンクである、という“幸運”にも助けられ、1位、2位と組み、80%以上のリーチを取ることに成功した。検索だけでなく、地図、メール、動画共有サイト「ユーチューブ」視聴機能など多くの機能がモバイルへ移植され、日本のモバイルサービスにおけるグーグルの存在感は徐々に高まっている。

村上社長によれば、グーグルはキャリアから学ぶ一方ではない、という。「水平分離型のプラットフォームである『アンドロイド』を活用しませんか、というのがわれわれの提案。日本のキャリアや端末メーカーが世界でビジネスを広げる大きなチャンスだと思う。お互い学び合い、新しいモバイルインターネットをつくっていきたい」(村上社長)。

ユーチューブの展開でも、モバイルと同様にパートナーシップ重視の姿勢を貫く。角川グループのようなコンテンツホルダーだけでなく、ハードでの提携も次々に実現した。入力側では簡単にユーチューブに投稿できるカメラをカシオ計算機、日本ビクターが発売。出力側として期待される大型テレビでも、松下電器産業がユーチューブを見られるテレビを発売している。

「日本チームはパートナー戦略を次々に成功させている。各国とも、日本チームを見習ってほしい」

エリック・シュミットCEOは8月に世界中の拠点をビデオ会議でつないで行った社員集会の中で、日本が進めているパートナー戦略を絶賛した。パートナーシップを特に重視する村上社長の戦略は、グーグル全体に対し、大きな刺激を与えているようだ。

開発部門・製品部門の貢献として、モバイルや動画分野における新事業の展開は、目に見えやすい。が、グーグルのコアコンピタンスである検索技術そのものでも日本は重要拠点だ。検索の品質向上を進める開発チームは人数も多く、ニューヨーク、マウンテンビュー、バンガロール、チューリッヒ、北京、そして東京にある。日本語のような2バイト文字の言語をローマ字で入力して検索してしまった場合に正しい言葉をサジェストする機能、スパムブログを検出するアルゴリズムなどは、日本チームが開発した。

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