「Apple Watchで命を救う」アップルの挑戦 スポーツの次なるターゲットは「医療」だ
watchOS 4では、心拍数アプリが強化され、グラフィカルな表示で1日を通じた心拍数の推移を確認できるようになり、また静止状態、歩行、ワークアウトそれぞれの心拍数の平均を算出し、ワークアウト後の通常心拍数への復帰も記録してくれる。
また、静止状態では一般的に、脈拍数が100回/分を超えることが少ないと言われていることから、静止しているのに10分間、100を超える脈拍数を記録すると、Apple Watchでそのことが通知される仕組みも備えた。iPhoneの「Watch」アプリから「通知」を開き、「心拍数」アプリをタップすると、通知のオン・オフ、通知のしきい値となる心拍数を設定することができる。
米国スタンフォード大学の調査によると、Apple Watchの心拍センサーのエラー率は2%で、7つのウエアラブルデバイスの中でトップの精度だった。アップルはそのスタンフォード大学とともに、心臓に関する研究を行うためのアプリ「Apple Heart Study」を米国向けにリリースした。
このアプリをインストールしている人が、不規則な心拍数を記録した場合に通知を受け取ることができ、素早く医療機関に相談することができるという。
Apple Watchには心拍数がつぶさに記録されていた
筆者の家族も、不整脈に悩まされていたことがあった。現在は快方に向かっているが、症状が出始めた際、急に動悸や貧血のような症状を引き起こして倒れ込んでしまい、救急車を呼んだり、救命センターに駆け込んだりしたこともあった。
救命センターで順番を待ち、精密な心電図を取る頃には発作が治まっており、医療機関が記録するデータとしては、なかなか有効なものを取ることが難しかった。
しかしApple Watchには、発作や貧血の症状の前後の心拍数の記録がつぶさに記録されていた。その心拍数の記録を見て、心拍数の低下、すなわち徐脈から、急激な心拍数の上昇頻脈が引き起こされていることがわかり、期外性収縮の疑いがあると自分たちで判断し、循環器内科にかかることになった。
米国での診療を受けることになるが、その手順は非常に煩雑だ。まずかかりつけ医の診察を受け、専門医を紹介してもらうという手順を必ず取らなければならない。また専門医も初回は面接をして、次に検査の予約を取り、その結果から再び診察をするという手順を踏む。結果として、検査結果と所見を得るまで、1カ月以上を費やすことになった。
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