「Apple Watchで命を救う」アップルの挑戦 スポーツの次なるターゲットは「医療」だ

拡大
縮小

Apple Watchは他のウエアラブルデバイスと同様に、購入ユーザーの動機や用途をエクササイズに定めてきた。Apple Watchにはモーションセンサー、心拍センサーが備わっており、Apple Watch Series 3ではGPSを備えている。

これらのセンサーはスマートフォンにも備わっているが、大画面化するスマートフォンは、スポーツを行うときに身に着けるデバイスとしては大きすぎる。しかし、エクササイズのデータをスマートフォンに収集し、分析できるようにしたい。

そこで、違和感なくつねに身に着けられるスマートウォッチやフィットネストラッカーにニーズが集まっており、より汎用的なアプリも利用できるApple Watchも、最初のマーケティングのターゲットとして、フィットネスを採用している。

アップルはさまざまなスポーツの運動強度からカロリーを算出するアルゴリズムを、独自のラボを構えて研究している。ウォーキング、ジョギング、バイク、スイミングのほかに、ジムに設定されているさまざまな機器のアルゴリズムを搭載し、OSの進化に合わせて、その種目も更新が続いている。最近「クロスフィット」として人気のある高負荷とインターバルを織り交ぜたトレーニングも正確に計測できるようになった。

さらに最新のwatchOS 4からは、Apple Watchとエクササイズ機器を連携させてより正確なトレーニングのデータを収集できる「GymKit」を導入するなど、その充実度を深めてきた。

加えて、音楽定額サービスApple Musicの音楽をWi-Fiやセルラーの通信で自由に聴けるようにしたり、前述のApple Payでスマホがなくても買い物ができたりと、Apple Watchだけで過ごす時間を充実させてきた。こうしたトータルの体験が、他社になかなかすきを与えないApple Watchの強みを作り出している。

スポーツの次の領域とは?

watchOS 4では、心拍数アプリが刷新され、グラフで心拍数の推移を確認することができわかりやすい(筆者撮影)

Apple Watchは、生活時間にはつねに手首に身に着けているデバイスだ。そのため日々の消費カロリーを余すことなく計測でき、スマホに届く通知などを手首を返すだけで確認できる。

そうしたデバイスの特性を生かす次の分野にも、アップルは着手している。それがヘルスケア分野だ。

Apple Watchそのものには心拍センサーが備わっており、定期的に心拍数を計測して記録している。Apple Watchの心拍センサーは、緑色のLEDと赤外線を組み合わせたライトと、感光性フォトダイオードを組み合わせて計測する「光電式容積脈波記録法」が用いられている。

次ページ最新OSで遂げた進化とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT