仕事でミスを連発する人は「トヨタ式」に学べ 原因を知り、共有し、精神論で終わらせない

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初めてのミスの場合、「どんな対策が考えられるか」といっても、自分1人では思いつかないケースも考えられますが、その場合は上司や先輩に相談をして、「注意すべきポイント」や「作業のコツ」などを教えてもらうと今後の参考になります。

初めてのミスに比べて、「同じミスを繰り返す」場合は、より真剣に「ミスに向き合う」ことが必要です。たとえば、約束の時間にいつも遅刻するとか、資料作成がいつも締め切りに間に合わないといったミスを繰り返すようでは、誰も「仕事を安心して任せる」ことはできません。

こうした人はミスをしても「すみません」の一言で片づけます。「なぜミスを繰り返すのか」「どうすればミスを防げるのか」を真剣に考えていないことがミスを繰り返す最大の原因です。もちろんミスをして、上司や先輩に注意されたときは「反省」するはずですが、頭の中で反省するだけではなく、ミス再発防止ノートを開き、文字にすることでより冷静に、そしてしっかりと考えられるようになります。

再発防止策についても、上司や先輩から言われて「いやいや」やるよりも、自分で考えるほうが納得している分、実行に移しやすいし、ミスを前向きな教訓にしようと考えることもできます。

約束の時間に遅刻したといった小さなミスでも、しっかりとミス再発防止ノートに記入しましょう。遅刻一つとっても、「前の予定が押して出発が遅くなった」「初めての場所で道に迷ってしまった」「予想以上に乗り換えに時間がかかってしまった」「事故の影響で電車が遅れた」といった理由があり、「場所や電車の乗り換えなどを事前にしっかり確認する」「少し余裕を持ってアポイントを取り、動くようにする」などの対策や、「遅れそうなときには早めにお客さまに連絡をする」といった注意点を書き込むといいでしょう。

いずれも「当たり前のこと」ばかりですが、ミスというのはこうした当たり前のことを疎かにすることで起こることがよくあるものです。

「ミスの見える化」でモレやヌケ防止を

ミス再発防止ノートと並んで効果的なものとして、書類の作成などでミスをした場合、書類の現物をコピーして、赤のマーカーなどで「ミスをした場所」や「注意すべき場所」を丸く囲むやり方もあります。

たとえば書類を作成した際、「日付」や「出席者」「件名」など、間違えたところを赤で丸く囲みます。こうした書類は使いまわしすることもあり、よく直し間違いが起きます。「見積書」の桁違い、「企画書」のページ抜けなども、同様です。

言わば、「ミスの見える化」です。

トヨタ式を導入しているある企業が「ゴミゼロ」の実現に向けて、ゴミの分別を徹底しようとしたときのことです。

工場などで作業をしている人にとってゴミの分別は手間のかかる厄介なものです。何をどこに捨てればいいかの確認も大変です。

そのため最初はほとんどの人が「これはどこに捨てていいかわからないや」といちばん近いボックスなどに捨てることがよくありました。ゴミゼロ推進委員会のメンバーは最初は「何をどこに捨てるか」を文書にして各部署に配布したり、貼り出したりしましたが効果はありませんでした。細かく書かれたものを読むのが面倒だからです。

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