リピーター定着「或る列車」飽きさせない秘密

登場から今年で3年、新たな仕掛けは?

最後に、JR九州鉄道事業本部営業部営業課長の鷹野恵一さんからもお話を伺いました。

――「或る列車」が走り出した翌年の2016年には株式上場も果たされて、外から拝見する限り会社全体が上り調子のようにお見受けします。実感としてはいかがですか?

久野知美アナ(中央)とJR九州・鉄道事業本部営業部営業課長の鷹野恵一さん(左)、山口哲矢さん(右)(撮影:村上悠太)

そうしたお声を頂くことが多くて有り難いです。とはいえ、震災や豪雨災害もございましたし、これからもどのような環境になるか未知数です。阿蘇地域では豊肥本線が不通になってしまっていますし、まだまだ厳しい面もあります。ただ、近県の地区でこうしてD&S列車が走っていることで、被災地や九州全体への活気づけにも繋がればと期待しています。

――近県まで観光列車が走っていることで、人によっては、たとえばレンタカーを借りて少し阿蘇まで足を伸ばしてみようと思われる方もいるかもしれないですね。

今、熊本駅と宮地駅を結ぶ「あそぼーい!」が運休になっていますが、昨年は期間限定で大分駅と別府駅から阿蘇駅へ向けて走らせました。大分から熊本へ、元気を運ぶ・パワーを発車するといった意味合いで走らせたのですが、このような試みは続けていこうと思っています。

――震災・災害復興に向けて、会社を挙げて動いていらっしゃる。それにD&S列車が一役買っているというのがJR九州らしいですね。

これからも多くの方に大分や熊本を訪れて頂いて、熊本の震災復興にお力添え頂ければ幸いです。

<取材を終えて>
今回、初めて現地で乗車した上で「或る列車」のこだわりについて様々なお話を伺うことができ、徹底したブランド管理とそのポリシーを垣間見て深く納得。一方でお客様の声を反映させる柔軟さも併せ持つところに感心しきりでした。九州全体のD&S列車としても、決して一筋縄ではいかない自然環境の中で、走り続けて沿線を元気にしていることもよくわかります。
ちなみに、新たな試みを続ける「或る列車」らしいニュースも入ってきました。1月13日に長崎駅で、運行開始以来初めてとなる一般公開が行われるとのことです。普段は10歳以下は乗車できない「或る列車」ですが、今回はお子さま向けの写真撮影会なども実施される模様。これを機に新たなファンも増えるのではないでしょうか。
<追悼>
「絵画で贈るD&Sトレイン九州紀行」で展示された故・佐藤正昭館長の作品(筆者撮影)
九州の鉄道を語る上で外せない「九州鉄道記念館」(福岡県北九州市)。佐藤正昭館長の絵画作品を展示した企画展「絵画で贈るD&Sトレイン九州紀行」が昨年10~12月に開催されましたが、佐藤館長は昨年11月に急逝され、これらの作品が遺作となりました。「或る列車」を含むD&S列車の様々な表情を捉えた作品の数々に、佐藤館長の情熱を感じられる温かな展示でした。心より御冥福をお祈りします。
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