米国発「WeWork」が日本で狙うオフィス革命 成長著しいシェアオフィス大手が東京進出へ

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WeWork(ウィーワーク)が東京・六本木に開設するシェアオフィスの完成イメージ。木目調の内装の開放的な空間だ(写真:WeWork)

一歩足を踏み入れると、木目調の内装にアンティーク家具が並ぶ洗練されたデザインが目に飛び込んできた。ひきたてのコーヒーのよい香りも漂ってくる――。ソフトバンクグループの孫正義社長がほれた「シェアオフィス」が、いよいよ日本に上陸する。

米シェアオフィス運営大手のWeWork(ウィーワーク)は2017年7月、ソフトバンクグループと合弁で日本法人を設立。同社はその翌月、ソフトバンクが中核のファンドなどから44億ドル(約4930億円)を調達したことを発表した。ウィーワークの企業評価額は200億ドル(約2兆2400億円)との現地報道もあり、米国ではライドシェアのウーバー・テクノロジーズや民泊のAirbnb(エアビーアンドビー)に次ぐ「ユニコーン企業」(評価額の高い非上場ベンチャー)として知られる。

営業をいっさいかけずに大半の契約が成立

2月1日、東京・六本木のアークヒルズサウスタワーに日本第1号オフィスを開設する。「すでに800席のうち9割以上の契約が成立した。しかもわれわれから営業をかけたことはない」。ウィーワーク・ジャパンのクリス・ヒル代表は自信を見せる。アークヒルズのオフィスの利用料金は、フリーアドレスの座席で月6万8000円、プライベートオフィスは1席で月12万9000円だ。

ウィーワークが3月に進出する三菱地所の「丸の内北口ビルディング」。グローバルな成長企業と日本の金融大手を結び付ける考えだ(写真:WeWork)

ウィーワークが「メンバー(会員)」と呼ぶ顧客のうち、現在約35%がソフトバンクグループの投資先企業、約15%が世界規模で事業を展開する大企業、残りの約50%が日本の中小企業だという。ヒル氏は「ゆくゆくは65%を日本のローカル企業、35%をグローバル企業にしていきたい。2017年のウィーワーク全体の新規契約がその割合だったからだ」と話す。

3月1日には三菱地所と協力し、丸の内北口ビルディングに4フロア1400席のオフィスを開設する予定。さらに4月までに銀座の大型商業施設「GINZA SIX」内(750席)、新橋のオフィスビル(550席)にも広げる。場所は明らかにしていないが、すでにもう1つの物件契約を結んだという。今年末までには東京以外の2都市にも進出する。2019年末までにはさらに2~3都市に広げるという。ゆくゆくは東京に20~40、ほかの都市に40~60のオフィスを設ける計画だ。

「コワーキングスペース」とも呼ばれるこの業態は、大企業からベンチャー企業、個人事業主まで、自ら不動産業者と契約をしなくとも使える仕事場として日本でも近年広がってきた。ウィーワークはなぜこれほどまでに注目されているのか。

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