「裁量労働制」の悪用を見極めるポイント5選 自由がゆえに際限ない長時間労働リスクも

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まず、専門業務型裁量労働制が適用されるのは、以下の19の職種である。

1. 研究開発
2. 情報処理システムの分析・設計
3. 取材・編集
4. デザイナー
5. プロデューサー・ディレクター
6. コピーライター
7. システムコンサルタント
8. インテリアコーディネーター
9. ゲーム用ソフトウエア開発
10. 証券アナリスト
11. 金融工学による金融商品の開発
12. 大学における教授研究
13. 公認会計士
14. 弁護士
15. 建築士
16. 不動産鑑定士
17. 弁理士
18. 税理士
19. 中小企業診断士

企画業務型の適用は専門業務型ほど個別具体的ではないが「事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務」に就く労働者に限られている。

冒頭の野村不動産のケースで問題になったのは、まさにこの論点だ。営業の職務は、専門業務型にも、企画業務型にも当てはまらない。にもかかわらず、野村不動産は、経験ある営業社員は、それなりの裁量を持って企画提案型の営業を行っていたので、企画業務型の裁量労働制に当たる、と考えていたようである。しかし、その解釈は法的には正しくない。

企画業務型裁量労働制の適用を前提としている「企画業務」は、全社的な経営方針を決めるための企画など、本社の経営企画室のような機能を想定しており、個別営業案件の企画を含めてはならない。

昨今は求人誌などでも「企画営業」という言葉を目にすることがしばしばある。だが、「企画営業」の仕事に裁量労働制が適用されていたならば、それは違法である可能性が高い。

政府は企画業務型裁量労働制に一部営業職への対象拡大を検討し、今年の通常国会に提出する見通しの労働基準法改正案に盛り込んでいるが、今後もこの点は議論を呼びそうだ。

裁量権がない仕事への適用は違法

第2のポイントは、実際の仕事内容も裁量労働制が適用されるにふさわしいかどうかである。

第1のポイントで掲げた職種に当てはまっていれば、自動的に裁量労働制が適用されるわけではない。裁量労働制が合法になるためには、対象となる職種に当てはまるだけでなく、かつ、実際に本人の自由裁量的な働き方が認められていることが必要だ。

ゲーム用ソフトウエア開発を例に挙げよう。裁量権を与えられてゲームの構想を練ったり、グラフィックを考えたりするような職務内容であれば、専門業務型裁量労働制は合法的に適用される。

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