ソニーの開発責任者が語る新生アイボの未来 家電製品との連携は?海外展開は?
昨年11月1日の発表以来、賛否両論さまざまな意見が巻き起こっているのがソニーの「aibo(アイボ)」だ。
ロボティクスとAIの技術をホームエンターテインメントに応用するという発想は、かつて1990年代終わりに登場した初代「AIBO」のコンセプトと極めて近い。しかし当時とは時代が違う。AIとロボティクスはより一般的になり、社会全体のロボットの捉え方も変化し、より受け入れられやすい市場環境が醸成されている面もある。実際、aiboは2回(11月1日と11月11日)にわたって行われたネット予約受け付けに際して、それぞれ30分と14分で売り切れている(取材後に行われた12月20日販売予約受け付け分も完売)。予約受付台数が公表されていないとはいえ、当初想定していた反応よりも、反響は大きかったようだ。
aibo事業を再始動するにあたって、極めて複雑な多数のアクチュエータが連動するロボットを持続的に動かすためのメンテナンス態勢や部品供給などの問題をどのようにクリアしたのか。そしてAIBOとaiboにはどのような違いがあるのか、いったい何を目指しているのか。ソニーでAIロボティクスビジネスグループの商品企画部統括部長を務める松井直哉氏に話を聞いた。
モーターはすべて自社で企画・設計
――以前のAIBOでは、主にメカニカルな部分での調整が難しくなり、さらにはメンテナンス、部品調達などの事業の継続性に問題があったと伺っています。aiboの復活に際して、それらはクリアできたのでしょうか。
新しいaiboには動作軸が22カ所もありますが、そこで使われているモーターを、すべて自社で新規に企画・設計して生産委託しています。aiboを動かすために必要なすべてのモーターを自社で用意することで、部品調達ができなくなるといった問題を回避できます。
――モーターやアクチュエータに技術的な独自性は持たせているのでしょうか。
モーター、アクチュエータは、他要素の進化から考えると、圧倒的に進化していない部分です。要求仕様を満たすスペックになっており、かなり厳しい要求になっていますが、あくまで汎用品。特別な構造ではありません。しかし組み上げをソニー社内(ソニー幸田)で行っているため、長期的な供給にも十分に対応できます。
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