芸能人格付けチェックをつい見てしまう理由 「新春かくし芸大会」なき今、元日のエースに
2005年から毎年正月に放送され、すっかり名物番組になった「芸能人格付けチェック」(テレビ朝日系、朝日放送)。視聴率は、関東で15~19%、関西で19~24%と同時間帯のトップで推移するなど、安定した人気を保っています。
「芸能人がプライドを懸けて6つのチェックに挑む」「高級商品と大衆商品の2択から選び、不正解なら普通、二流、三流、そっくりさん、映す価値なしとランクダウンしていく」という同番組の構成は、非常にシンプル。しかし、正月番組における3つの必勝ポイントを兼ね備えた稀有なコンテンツとも言えるのです。
人々の嗜好が多様化してセグメンテーション(市場細分化)が進み、少量多品種が推奨されるなど、ヒット商品が生まれにくい世の中になりました。テレビ番組も例に漏れず、幅広い層から支持されるものは小さくなる一方ですが、「芸能人格付けチェック」にはそんな閉塞感を打ち破るヒントがギュッと凝縮されています。
「元日固定」で得た希少性とお祭り感
1つ目の必勝ポイントは、元日に固定したこと。
実は「芸能人格付けチェック」が元日放送になったのは2008年以降であり、当初は1月2日や3日に放送されていました。これを元日に固定したことで、徐々に「芸能人格付けチェック」=元日というイメージが浸透。「年に一度。しかも、めでたい元日のお楽しみ」という希少性とお祭り感を手に入れました。
現在、放送月日を固定している番組は、「NHK紅白歌合戦」や「笑ってはいけないシリーズ」(日本テレビ系)、「輝く!レコード大賞」(TBS系)など、ごくわずか。「元旦はこの番組」と言えるのは当番組と、2011年から元日放送として追随した「元日はTOKIO×嵐」(日本テレビ系)くらいなのです。
過去を振り返ると、1964年から2010年まで47回に渡って放送された「新春かくし芸大会」(フジテレビ系)は、元日番組の象徴でした。私自身、幼少期は両親の影響で同番組を見ていましたが、正直「面白くないな」と思っていたことをよく覚えています。しかし、いまだに「元日は『かくし芸大会』」というイメージは消えず、昨年の元日も「むしろ今、見てみたい」と思ったほど、その希少性やお祭り感に今さらながら気づいてしまいました。
同じような月日の固定戦略を採用しているのは、現在ブーム再燃中の新日本プロレス。1992年から毎年1月4日に東京ドーム大会を行い、「年に一度のビッグイベント」「1月4日は新日本の日」というイメージづけに成功しました。その間、K-1や総合格闘技ブームに押されて空席が目立った時期もありましたが、開催を継続したことが現在の隆盛につながっているとも言えるのではないでしょうか。
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