内村光良「紅白」総合司会引き寄せた3つの力 タモリ以来、34年ぶり2人目の芸人起用

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そんなスルー力の素晴らしさを倍増しているのは、内村さんがもともと情熱とこだわりを持つ職人タイプであること。幼いころから映画好きで、高校生になると映画同好会に入ったほか、アルバイトしたお金で機材を買って自主制作映画を撮り、卒業後は横浜放送映画専門学院で学び、2006年、2013年、2016年の3度に渡って夢だった映画監督を務め、脚本も手がけました。内村さんの人生は、どこを切り取っても、情熱とこだわりがあふれているのです。

もちろん本業のコントやキャラクターの作り込みに関しても、業界屈指の職人肌。これまでテレビ業界で「コントに情熱やこだわりのある人は?」と言えば、必ず志村けんさんか内村さんの名前が挙げられてきました。そして、内村さんは今も「LIFE!」などで向き合い続けているのです。

ただし、情熱とこだわりは人一倍であり、それを実現させるスキルやノウハウを持ちながら、共演者には押し付けないのが内村さん流。情熱とこだわりを笑顔の奥に秘められるから、共演者の未熟さやミスをスルーして成長を促せるのです。

内村さんが芸人だけでなく、多くの芸能人から尊敬の念を集めているのは、情熱やこだわりとスルー力という、相反する2面性を持っているからではないでしょうか。その意味で、経営者や管理職のビジネスパーソンは、内村さんのような2面性を見せることで、周囲の心をわしづかみにできるかもしれません。

NHKのセルフパロディは炸裂するか

最後に、話を紅白歌合戦に戻しましょう。本番では、紅白に分かれた45組に加えて、特別企画の安室奈美恵さんと桑田佳祐さんとのやり取りはあるのか? ゲスト審査員の加藤一二三さん、鈴木亮平さん、高橋一生さん、林真理子さん、村田諒太さんら、各界のトップランナーにどんな言葉を投げかけるのか? さらに、出演が予想される旬の芸人たちとどう絡むのか?

その他の企画では、「LIFE!」でおなじみのコントやキャラクターは登場するのか? なかでも、国営放送の堅苦しさを逆手に取ったセルフパロディの「NHKゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・マーベラス・ディレクター」三津谷寛治(内村光良)と、決めゼリフの「NHKなんで」が炸裂したら盛り上がるでしょう。

もう1つ、ファンの間で待望論があがっているのは、千秋さん、ウド鈴木さんとのユニット「ポケットビスケッツ」の一夜限定復活。同ユニットで1998年の紅白歌合戦に出場しただけに、「もう一度見たい」という声があがっているのです。総合司会というトップ・オブ・トップの立場であり、もともと他局番組のユニットだけに、実現は難しいかもしれませんが、「ウッチャンなら何かやってくれそう」という期待感で、放送中もネット上をにぎわせてくれるでしょう。

内村さんは「この話を聞いたとき、本当に驚きました。まったく予想外のことでした」と謙虚にコメントしていました。しかし、今年の活躍と支持の高さを踏まえると、内村さんほど2017年を締めくくるのにふさわしい人はいません。今年の紅白歌合戦は、内村さんの力を得て、視聴率・評判ともに上々の結果を集めるような気がしています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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