iPhoneユーザーが苛立つ「速度制限」の正体

これはどれほど深刻なことなのか?

アップルはバッテリーにかかわる性能低下の問題に関して、直近で3件の集団訴訟が起こされている。アップルは今回の性能低下の措置を顧客体験とデバイス保護のためと説明しているが、問題はどこにあったのだろうか。大きく分けて2つある。

1つ目は、アップルが1年間もの間、iOSに備わっている性能を制限する機能と、それが動作していることを隠してきた点だ。

今回の問題は12月10日に、米国の大手ニュース投稿サイトであるRedditで持ち上がったことをきっかけにしている。12月18日には、著名なベンチマークアプリ「Geekbench」を手がけるPrimate Labsの創設者John Poole氏が、「iPhoneの旧機種のパフォーマンスの低下がiOSに原因がある可能性」を指摘し、12月20日にアップルが書簡で性能制限を認めた。

アップルにとって、意図的な性能制限に買い換え促進の意図はなかったかもしれないが、説明なしに性能を制限していた点は、顧客にとって不信感をあおる結果となってしまった。

アップルは、バッテリー性能低下が起きる場面、その環境下で何が起きるか、性能制限によって日常利用にどのような影響が起きうるかを、ていねいに説明すべきであったし、いまからでもそうすべきだろう。

また、iOSの「設定」アプリには「バッテリー」という項目が用意されている。せっかくそうしたメニューが用意されているのだから、ユーザーに性能制限モードに入っていることを伝えたり、ユーザーが手動でこれをオフにする機能を付けておいたほうが良かっただろう。ユーザーが「頻繁な再起動」などのリスクを理解した上で性能制限の機能をオフにできる仕掛けを用意していれば、今回の騒動は起きなかっただろう。

バッテリーを交換すれば速度制限を回避できる

この問題に関する問題点の2つ目は、性能制限に陥ったiPhoneを修復する方法をアップルが示していない点だ。iOSがバッテリーの状況に応じて性能を制限する機能については説明している。バッテリーの劣化によって日常的に性能制限を受ける状態に陥っているのであれば、バッテリーを新品に交換すれば改善するのだ。このことは、前述のとおり、新品として使い始めた旧機種が性能制限を受けないことと同じ条件になるからだ。

アップルは1年間の製品保証の中に、バッテリー交換が含まれているが、そのことを知っている人は少ないだろう。

アップルによると、iPhoneはフル充電サイクルを500回繰り返すと、本来の容量の80%しか充電できなくなるとしている。もし1年間の保証期間内、あるいはApple Care+に加入している場合、蓄電量が80%未満に劣化した場合、無償交換の対象だ(参考:https://support.apple.com/ja-jp/iphone/repair/battery-power)。

もし1年間の保証期間外でApple Care+で加入していない場合でも、Apple Storeでのバッテリー交換サービスを8800円(税別)で利用できる。いずれかの方法でバッテリーを交換すれば、バッテリーとデバイスの処理能力の双方を、100%の性能で利用できるようになる。

10万円を超えるiPhoneへの買い換えの前に、8800円のバッテリー交換を試す方が、おそらく多くの人にとって現実的な選択といえる。バッテリーを交換すればこの問題が解決することを、アップルがきちんと説明すべきだろう。

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