NHK受信料の契約は「2段階方式」にするべきだ 「真の公共放送」だけ切り出せば納得感が増す
12月6日、最高裁は”憲法で保障されている契約の自由が侵害されている”として争われていたNHK受信料制度について、合憲との判断を示した。
最高裁は、支払い拒否者との受信契約が結ばれる時点について、NHKが相手方を訴えてその判決が確定した時点とした。そして、判決が確定した場合の支払い開始時点は、時効による免責はなくテレビ設置時に遡るとした(詳細はNHK受信料制度、「合憲」でも山積する課題を参照)。
判決では、”国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とする”と公共放送としての役割を定義した上で、上記条件を満たす世帯から受信料を徴収することは合憲と判断したわけだが、この判決に違和感を持った人は多いはずだ。
「違和感」の正体とは?
まず、公共放送とは何なのか。現実にはNHKが放送する番組の多くは娯楽性の高いもので、民間放送局と競合している。積極的に張り合っているといってもいい状態だ。
NHKが使う設備投資、番組制作費、将来に向けた研究開発投資などは、総じて国民から集められる受信料からまかなわれ、しかも契約が実質的に強制されるというのだから、その業務内容には相応の公共性が求められて当然だが、そうはなっていない。
ちなみに昨年(2016年)の実績で言うと、NHKの受信料収入は6769億円(事業収入全体は7073億円)、事業支出は6793億円だった。対する民放は、現在独り勝ちともいえる状況にある日本テレビホールディングスが売上高4167億円だが、放送事業セグメントの売り上げだけを見ると3109億円。フジ・メディア・ホールディングスは売上高6539億円だったが、こちらも放送事業セグメントの売り上げは3189億円だった。
NHKと比較されることが多いBBC(英国放送協会)の収入はほぼ同じ時期の受信料収入が37億4280万ポンド、それ以外の収益が10億8420万ポンドであり、合計で48億2700万ポンド(7275億円)となっている。受信料以外の収益も大きいBBCだが、受信料制度の法的拘束力は日本よりも高く、支払わないと罰金を課せられる。
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