伝説のプログラマーが守り切る誠実な生き方 永遠のパソコン少年が突破した壁の先

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中島氏:書籍の執筆というのは、特に自分のように執筆以外が本業の場合だと、ベストセラーとして広まらなければ、割に合わない仕事なんです。多くの人に伝わらなければ意味がない。執筆という時間へのそれなりの対価(お金という意味だけでなく意義のあること)は、当然欲しいわけです。今回はそれ以上の価値があったと思っています。新入社員時代、不義理を働いた自分が、こうして母校でお話しできるのも、この本のおかげかもしれませんし(笑)。

一度しかない人生を思いっきり楽しもう

――Windowsをはじめ、中島さんが開発に携わったソフトウェアによって、世の中は大きく変化してきました。

中島氏:ソフトウェア開発もそうですが、一つひとつの行動によって、身の回りの状況が変化し、たくさんの方々と知り合えることができたのは、とてもありがたいことだったと思います。ブログを通じてたくさんのエンジニアとも縁ができましたし、新たなビジネスチャンスにも繋がりました。

自分の直感に素直に生きることは、時に大変なこともありますが、嫌だと思う気持ちを抱きながら生きていくよりは全然いい。「やりたくもないことに時間を費やすなんてもったいない」。そうしたメッセージを伝えるのも、今の自分の役割なのかと思います。でもそうしたことは、あとづけ。まずはやってみること。動かなければ何も変わりません。

――動かなければ、ゼロのまま。

中島氏:「目標」なんていうのは、あとから追いついて来てもいいと思うんです。それよりもまずは自分の気持ちに誠実になること。ゼロをイチにしていくこと。そっちの方が、何社から内定をもらったなんていうことより、よっぽど大事なことなんじゃないかと、ぼくはそう思うんです。

正解のない人生ですから、ぼくのやり方だけが正しいわけではありません。でも「大企業に雇われる」だけが働き方・人生じゃないということを、特にこれから社会に羽ばたく学生には知って欲しいんです。自分はどう生きたいのか、そのためにはどう動けばいいのか。

ドイツの文豪ゲーテは、「知ることだけでは十分ではない、それを使わないといけない。やる気だけでは十分ではない。実行しないといけない」と言いました。ぼくの「一度しかない人生を思いっきり楽しもう」というメッセージとともに、今後もメルマガやSNSで発信を続けていきたいと思います。

もちろん、ぼくも皆さんと同じように、これからも正解のない道を歩み続けます。いまだに「成功法則」は知りません。今も昔も失敗を重ねています。けれど、やりたいことがなくなるまでは、今までのように「直感」に従って、人生を思いっきり楽しんでいきたいと思っています。

(インタビュー・文/沖中幸太郎)

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アルファポリスビジネス編集部

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