日本の兼業主婦は自前主義にこだわりすぎだ 「ワークライフアンバランスでいいじゃない」

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真のワークライフバランスとは?

「ワークライフバランス」って何だろう。言葉の意味は、もちろん知っている。「働き方改革」だって、「プレミアムフライデー」だって、さんざん耳にしている。だけど、なぜだろう。これだけ世の中で「ワークライフバランス」って叫ばれているのに、ちっともうまくいっていないような気がするのは。

業務量は全然減っていないのに時間ばっかり追い立てられて、ますます心も体も疲れているような気さえする。 私たちを本当に幸せにしてくれる「ワークライフバランス」とは? 今、本当に推進すべき「働き方改革」って何?

そんな問いに、答えをくれる人がほしくて、この人に会いに行ってみた。経済協力開発機構(OECD)東京センター長の村上由美子さん。 2013年、これまで外務省出身者の指定席だった同ポストに、初の民間出身者として就任。3人の子どもを育てながら、国際社会のために辣腕を振るっている。20代の頃は国連職員として国際舞台の前線で働き、その後、ゴールドマン・サックス証券、クレディ・スイス証券と外資系金融機関で活躍。世界の労働市場をよく知る村上さんだからこそ言える、真の「ワークライフバランス」とは。

労働時間短縮は、わかりやすいけど本質じゃない

本記事はWoman type(運営:キャリアデザインセンター)からの提供記事です

そもそも日本の労働市場って、世界の経済先進国の水準から見ると何かと異常。だから、ようやく「働き方」についての議論が国を挙げて行われるようになったこと自体は、評価したいなと思っています。

だけど、問題なのはその中身。今、「働き方改革」の議論の中心となっているのは、時短とか、長時間労働の削減とか、そんなことばかり。やたらと労働時間にばかりフォーカスが当たっていることに違和感を覚えます。

そもそもなぜ今「働き方改革」が必要なのか、議論の原点に立ち返ってみると、それは日本人の所得が増えず、人口減少という難題にも直面し、社会経済システムがうまく回らなくなっているから。日本企業が世界的に競争力を失い、国民の経済力も低下の一途。その主因の1つは、先進国の中では極端に低い日本人の労働生産性がある。

まず「働き方改革」において最もメスを入れるべきは、この労働生産性をいかに改善し、国際競争力を回復させるか。だけど、それは痛みを伴う構造改革を意味しているので実行が難しい。なので、結局わかりやすくて表面的に対処しやすい労働時間の話にばかり議論が集中しているんだと思います。

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