テレ朝も活用、最強クラウド「アマゾン」 W杯番組連動企画も奏功、深夜でも連打3億回超

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テレビ朝日はAWSを活用し番組連動に成功

セカンドスクリーン活用での成果を語ったテレビ朝日の松下剛氏

基調講演のひとつとして、テレビでの活用事例を語ったのがテレビ朝日コンテンツビジネス局の通信技術班チーフである松下剛氏。AWSを利用したのは、トラフィック対策とセカンドスクリーンの活用のためだった。

テレビ朝日が悩んでいたのは、トラフィックの問題。番組連動時には通常の数百倍のトラフィックが発生するという。ピークにあわせてインフラを用意するのはコスト効率が悪く、自社でサーバーを整備するには限界がきていた。

そこで、時間単位でコスト計算ができるアマゾンのサービス(EC2)をフルに活用することで、問題を解決したという。トラフィックの膨らむことが予想される番組の放送中だけクラウドでサーバーを増やせばいいというわけだ。特に、瞬間的に数百倍に膨らむデータ量に対応するには、ある程度ボリュームのある大きいクラウドサービスが必要となるため、業界最大手のAWSを選んだという。

そして、テレビに次ぐスクリーンとしての、ネットを活用するセカンドスクリーン。ここでは、「面白さ」を追求した。セカンドスクリーンの基本サービスとしては、ほかに、番組情報を伝える「便利さ」、プレゼント応募など「お得さ」も考えられるが、テレビ朝日は、面白さを重視、番組と連動したゲームやクイズを考えた。

松下氏が手がけた「テレ朝リンク」というセカンドスクリーン企画のなかで、大きな成功例が2つある。

その1つが、今年3月26日に放送したサッカーW杯最終予選のヨルダン対日本戦での「いくぞブラジル!絶対突破大作戦」。視聴者にスマートフォンに向かって応援の連打(タップ)をしてもらい、その思いを伝えてもらおうというもの。かつてはサーバーのダウンが怖くてできなかったような企画も、クラウドの巨大なストレージがあれば問題なかった。参加者数は10万人、タップ数は3億7000万回を記録。視聴率平均は深夜の放送だったにもかかわらず25%を記録した。この成功を受けて、6月4日の対オーストラリア戦でも同様の企画が組まれた。

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