NYのセレブが子どもに「漫画」を習わせる理由 セレブキッズたちのすごすぎる実態

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「漫画のレッスンを受ける=漫画家になりたい」というわけではありません。日本ではアニメや漫画の専門学校があるくらいですから、「職業にしないのになんで勉強するの?」という疑問を持つのかもしれません。

ですが、私の生徒たちはむしろ、漫画というアートスタイルに興味を持っている子が多く、中にはアートスクールを目指して本格的にアートに取り組んでいる子もいます。こうした子たちには率先してデジタルで漫画の編集するやり方を教えています。多くの子たちは、アイパッドでイラストを描いているので、プロ仕様に慣れるようにフォトショップやイラストレーターでの編集を教えてあげています。

「人見知り」だった子が…

自閉症の子どもたちの表現の場としても漫画は活用されていると感じます。私の生徒にも自閉症の子どもたちがいますが、個人的に思うのは、彼らはともかく想像力が豊か! アニメから受けた影響を言葉でうまく表現できなくても、絵で表すことにとても長けているのです。そして、それが自信につながっていく。学校の授業には集中できないけど、アニメや漫画なら何時間でも楽しめる。その集中力を漫画のレッスンを通じて伸ばしてほしい、と考えて子どもを通わせているケースもあります。

また、中高生の生徒のほとんどはいわゆる人見知りタイプで、学校ではなかなか友達ができないという子が少なくありません。中にはいじめにあって転校したり、目を合わせて会話ができなかったりする子もいます。

こうした生徒は、自分の趣味を磨くことで美術のスキルを上げようと漫画レッスンを受けにきたパターンが多い。最初は無言でしたが、いろいろ質問していくうちに、何かたまったものをはき出すようにものすごい勢いで話すようになりました。親にはなかなか言えない学校の話や自分の不安を、絵を描きながら話すのです。こうして心を少しずつオープンにしていくことも、レッスンの一環かもしれません。

通う子ども、通わせる親の思いはそれぞれ。親たちの多くは、異文化や新たな世界に触れさせることで、子どもの感性や感受性を豊かにしたいと考えているようです。レッスンを始めた当初は、漫画の描き方を教えることのみが目的でしたが、こうしたさまざまな境遇にいて、感性を持った子どもも触れ合っていくうちに、私の漫画教室は「総合学習」の一環なのだという自覚を持つようになりました。

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