M&Aで中小食品救う「異色ベンチャー」の野望 地方メーカー次々買収、事業承継の受け皿に

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中核企業・楽陽食品の姫路工場では主力商品のチルドシューマイやギョーザを生産(記者撮影)

兵庫県姫路市の外れに、従業員70人ほどの小さな食品工場がある。チルドシューマイの国内トップメーカー、楽陽食品の主力工場だ。シェアは4割近くで、崎陽軒や東洋水産に大きく水をあける。チルドギョーザのシェアも拡大中だ。今では売上高の2ケタ成長が続く同社だが、10年前までは伸び悩み、赤字に苦しんでいたという。

1963年創業の同社を救ったのは、2008年設立のヨシムラ・フード・ホールディングス(HD)。中小規模の食品メーカーを次々と買収し、弱みを補い合って強みを伸ばし、グループ全体で成長を図る異色のベンチャーだ。

わずか1年で黒字化

2008年12月、ヨシムラ・フード・HDの傘下に入った楽陽食品は、高性能のシューマイ自動製造装置を導入し歩留まりを改善。小売り大手のPB(自主企画商品)製造も開始したことで稼働率が向上、わずか1年で黒字化を果たした。

ヨシムラ・フード・HDの創業者兼CEOは、大和証券やモルガン・スタンレー証券を渡り歩いた吉村元久氏。「売却目的のM&A(企業の合併・買収)はしない。そこが投資ファンドとは違う。赤字企業であっても、グループ全体の価値向上につながると思えば買収する」と話す。

乾麺、ゼリー、とんかつ、ピーナツバター、日本酒、マグロ加工品、食品卸。買収した企業は多種多様で、地域もバラバラだ。10月には北海道で鮭関連品を製造・販売するヤマニ野口水産を買収し、傘下企業は12社に達した。

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