「意識高い系」社員につけるクスリはない スクールカーストで下層にいた者の劣等感だ

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「リア充」の定義は次のとおりだ。

1. 土地に土着している(”ジモティ”と呼ばれることもある)
2. その土地は両親または親戚などから相続したもの(または相続する予定)
3. スクールカーストでは第一階級(支配層)に属していた
4. 青春時代に自明の支配階級だったので、承認欲求が満たされており、他者へのアピールの必要性を有さない
5. 自己評価は妥当で特にプライドが高いわけではない

一方、「意識高い系」の定義は「リア充」とは正反対。

1. 土地に土着していない
2. 土地を両親または親族などから相続していない
3. スクールカーストでは第二階級以下(被支配階級)に属していた
4. 青春時代に被支配階級だったため、承認経験が満たされておらず、その反動で、必要以上に他者にアピールする(承認を欲している)
5. 自己評価が不当に高い(異様にプライドが高い)

”スクールカースト”とは、学校空間で、特に高校における生徒間の序列のこと。インドのカースト制度になぞらえて、スクールカーストと呼ぶ。同じ高校の中であっても、目に見えない序列・階級が厳然と存在する。スクールカーストを規定するのは、学力ではなく、容姿と社交性だ。

スクールカーストの第一階級(支配階級)は、容姿端麗で異性にモテることが多く、学校行事などの”ハレ”の場をリードしていく。学校空間を支配する階級といえる。第二階級(被支配階級)は、第一階級にあこがれながら、容姿や社交性で水をあけられている。ただ、第一階級の話題についていけないわけでもないので、中途半端な階級である。

第三階級は、学校をリードする第一階級にはまったくついて行けず、第二階級よりも容姿や社交性に劣り、学校空間での序列は最下層に位置付けられる。第一階級には無視され、第二階級からは嘲笑される存在なのだ。

「意識高い系」には2パターンある

「高校時代にスクールカーストが上位だった人間は、無理して自己アピールする必要がない」(撮影:今井康一)

「リア充」は土地に支払う賃料やローンがないため、所得水準が低くても可処分所得が多い。親や祖父母の代から土着していることで、土地の上に成立する濃密な交友関係が形成されている。こうした関係は仕事にも好影響を及ぼす。高校時代のスクールカーストが上位だったので、社交性や異性交遊の経験に富んでおり、無理して自分をアピールする必要はない。自分自身を過大にも過小にも評価しない。青春時代の最も重要な時期に、あらかた他者からの承認が満たされているからだ。

意識高い系には2つパターンがある。まず1つが「地方上洛組」。地方でのスクールカーストが第二階級以下だったため、東京などの大都市へ移住して、チヤホヤされる立場に成り上がろうとする人々だ。

次ページ”地方上洛組”と”在地下剋上組”がある
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