日本人が知らない「ゴアテックス」強さの秘密

アイコン化した強い組織の研究<3>

WLゴアの創業者であり、ゴアテックスの発明者、ウィルバート・ゴアとヴィーヴ・ゴア
本記事は『アイコン的組織論』(フィルムアート社)からの抜粋。同書に掲載された「アイコン化した強い組織」の知られざる秘密について説明されている箇所を5日連続で紹介する。第3回は防水ゴム「ゴアテックス」を生み出したWLゴア&アソシエイツの強さの秘密について解説する。

ゴアテックスの革新的な民主主義

ゴアテックスは広く知られているが、それを製造している会社がWLゴア&アソシエイツだというのは知らない人がほとんどだろう。だが、例の防水性と透湿性を両立した素材と同じくらい、それを生み出した会社もすばらしい。ゴアは30億ドルの収益を上げ、1万人以上の従業員がいる会社だ。つくっている製品は数千種類に及ぶ。たとえば、デンタルフロスや燃料電池の成分、グラスファイバー・ケーブル、さまざまな特殊素材などだ。

医療用品も製造していて、1300万人以上の心臓病患者が、ゴアのインプラントを使用している。

これだけ多様な製品を扱っていれば、包括的な支配構造を持つ会社がほとんどではないだろうか。だがゴアは違う。管理職が指名されることは、皆無だ。

ウィルバート(ビル)・L・ゴアは、妻ジェヴィーブ(ヴィーヴ)とともに1958年に、ゴア社を立ち上げた。それ以前は巨大化学企業、デュポンで17年間忠実に働いていたが、不満があった。彼はポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロンという名のほうがよく知られている)に可能性を見い出したのだが、上司にはそれが見えなかったようなのだ。

そこで、自分でやってみよう、と思い立った。PTFEの新たな利用法を開発しようとしたのみならず、本当に革新的な組織、従業員が官僚主義やルールに縛られない組織をつくろうと考えた。指名されたマネジャーに従うのではなく、従業員は信頼、同僚からのプレッシャー、そしてよい製品をつくりたいという自らの欲求で仕事をする。

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