ビッグマック「単品値上げ」の台所事情 モス「とびきりハンバーグ」をも超える価格帯に

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ハンバーガー類の単品での注文数は減っても、より粗利の大きいセットメニューでの注文数が増えれば、利益は維持できる皮算用になる。日本マクドナルドでは、5カ月にわたった実験を踏まえ、「売り上げに与える(プラスの)インパクトは1%程度。客数が減少しない前提で導入する」と説明している。

ただ、今回の値上げにより、日本マクドナルドの看板商品であるビッグマックの値段は、競合するモスバーガー(モスフードサービスが運営)の主力商品「モスバーガー」(単品320円)を大半の店で超え、マクドナルドの一部店舗ではビッグマックの値段が、モスの国産食材にこだわった高価格帯ハンバーガー「とびきりハンバーグサンド プレーン」(同360円)さえも上回ることになる。

8月の既存店売上高は2カ月連続で前年割れ

足元の業績動向を見ても、日本マクドナルドの持ち株会社である日本マクドナルドホールディングスが9月10日に発表した8月の既存店売上高は、前年同期比で1.9%減と2カ月連続の前年割れに沈んでいる。特に客数は9.3%減と大幅な前年割れに歯止めがかからない。日本マクドナルドホールディングスの今2013年12月期は、2期連続の営業減益になる見通しだ。

マクドナルドの既存店売上高は今年1月から大幅な前年割れが続いており、これを上向かせるのは容易でない。ならば、原価率の高いハンバーガー単品は値上げして、ドリンクやポテトをつけたセットメニューのお得感を増すことができれば、客単価引き上げと採算改善の一石二鳥を狙える可能性もある。

ただ、大部分の店舗で商品価格を引き上げながら、「新しい価格設定のもと、これまで以上のお得感を感じて欲しい」という会社側の説明を、顧客の側はどう受け止めるか。マクドナルドの既存店底打ちにはまだ時間がかかりそうだ。

(撮影:尾形 文繁)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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