ジャカルタの鉄道、線路脇にある植物の正体 沿線のあちこちに植えられた理由は?

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日本では高架下で野菜を栽培する例が東京メトロなどで見られるが、線路脇に「食用作物を植えるケース」は世界的にみてもあまり聞かない。

線路脇にイモが植えられた区間を走る旧東京メトロ千代田線6000系(Photo:KAORI Nusantara / Mr. Farouq Adhari)

実は、ジャカルタの今回の例もそうだ。インドネシアではサツマイモを食べる習慣はそれほど一般的でなく、「食べるために植えたわけではない(KCI関係者)」のだという。

KCIの線路際で作られたサツマイモは、保線に当たる職員が出来具合を見ては掘って収穫する程度で、外部への販売は行っていない。現地の日本人駐在員は「日本から出店している讃岐うどんチェーンのお店では、いも天がメニューになっているし、スーパーでは紫イモのチップスが売られているのに、どうしてKCIのスタッフがせっかくできたイモに興味を持たないのか不思議だ」と首をかしげる。

サツマイモを販売したらどうなる?

KCIの各駅には現在、アルファマートというコンビニが設けられているが、店頭で焼きいもを作って売ったら沿線美化経費の足しになるのかと思うがどうだろう。なお、植えられているものの多くは紫色のサツマイモなので、仮に「KCI焼きいも」が売られたとしたら、黄色い品種に見慣れている日本人の目には少々奇異に映るに違いない。

ジャカルタの線路は、緑化を進めたことで以前と比べ格段と美しくなった。サツマイモの有効利用の方法は気になるところだが、現地スタッフが車両だけでなく線路もしっかり手入れして使っている様子を見るのは気持ちがいい。日本製中古車両がインドネシアの人々の足として今まで以上に活躍することを期待したい。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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