日本流「ホーム乗車位置」は英国で根付くのか なぜか不満の利用者も…その理由は?

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英国の駅で見掛ける列車停止位置目標の標識。これは8および9両編成の停車位置という意味だ(筆者撮影)
線路脇(機関車の右下)に立つ停車位置目標の標識。「H 360m」とは編成長360mの列車停止位置を示し、ドイツ鉄道の高速列車ICE1の長さとほぼ同等。つまり同車両の停車位置ということがわかる(筆者撮影)

日本と同様、たとえば10両編成の停車位置なら「10 cars」と書かれた表示が線路脇やプラットホームに示されているし、全車両が同じ停車位置なら、「All cars」のように表示されている。これは英国に限った話ではなく、多くの欧州諸国でも同じだ。中にはイタリアの「ETR485」という車両形式の表示(車種ごとに位置が違うため)や、ドイツの「H/360m(Hはドイツ語の止まるHaltenの頭文字、そのあとの360mは編成の長さで、全長360mの列車を示す)」のように、具体的な形式や編成の長さを記した表示もある。

欧州大陸では、セクター表示という方法も一般的だ。これは、1つのホームをA、B、C……と位置によって大まかに区切り、アルファベット表示する方法で、プラットホームにはどの車両がだいたいどのあたりに停車するという目安を示した編成表が掲示してある。これなら停車位置にある程度誤差があっても問題なく、乗客も自分が乗車する車両を目指して編成の端から端まで走らなければならない、というリスクも減る。

地下鉄はほぼ定位置に停まる

だが、都市近郊の鉄道では、少々事情が異なってくる。

長距離列車のための長いプラットホームであれば、多少停車する位置がずれたとしても、乗客が安全に乗降でき、発車する際の信号機がきちんと目視できる場所に停まれば済む。しかし都市近郊の通勤列車に関しては、都心部におけるプラットホームの長さに制約があるため、停車位置に大きな誤差が生じると問題がある。

特にシビアなのが地下鉄だ。前後がトンネルという駅が大半を占めるため、そのトンネルに挟まれたスペースにきちんと停車させる必要がある。だから都市近郊の通勤電車、とりわけ地下鉄ほど、停車位置はほぼ決まっているといえる。

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