小池・前原「とらぬ狸の皮算用」に強まる逆風 希望の党の公認候補選びは、しがらみだらけ

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こうした「渦巻く期待と批判で風を起こす」(自民選対)ような小池流の"空中戦"に有権者が反応することを警戒する首相は、街頭演説などで「新しいブームからは何も生まれない。政策こそが未来を切り開く。愚直に政策を訴える」と繰り返している。「北朝鮮危機の中での政局混乱が国民の安心や安全を脅かす」(政府筋)とのアピール戦術だ。

ただ、小池氏の主戦場ともなる東京の選挙区では「下手をすると都議選の再現で自民候補がバタバタ落ちる」(自民都連)との危機感も強く、首相の応援に尻込みする候補も出始めているという。7月の都議選最終日に首相が口にした「こんな人達に負けるわけにはいかない」というセリフへの有権者の反発はまだ消えておらず、「安倍か反安倍か」の選挙戦なれば逆風が吹くとの肌感覚からとみられる。

一方の小池氏もここに来て、言動の粗っぽさが目立つ。希望の党の公認を申請した民進党内定候補者に関して「全員を受け入れる考えはさらさらない」「(理念や政策が違えば)排除する」という強い言葉は小池氏のいう「寛容な保守」とは相いれず、都議選の安倍発言にも重なり合う。

自民党の選挙応援のスーパースターとされる小泉進次郎筆頭副幹事長による「小池さん出てください」という挑発に「小泉進次郎さんがキャンキャン言っているが、お父様(純一郎元首相)は都知事を続けろといった」などと言い返したあたりも、当意即妙で機知に富むいつもの「小池語」とは違って極めてストレートだ。「出る、出ない」騒ぎやこうした一連の言動がここにきて「小池氏への逆風」の要因ともなりつつある。

都民ファースト2都議が小池氏に離縁状

そんな中、5日午後の都議会閉幕後、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」の主要メンバーだった音喜多駿、上田令子両都議が同党への離党届を提出した。両氏は離党の理由を「情報公開の不徹底」「東京大改革の変質」などと説明したが、「都政のブラックボックスを壊す」と叫んで都知事に就任した小池氏の党運営の手法が「独裁的でブラックボックスそのもの」(音喜多氏)との反発からで、文字通り小池氏への離縁状だ。小池氏側近とみられてきた2都議の離党による小池氏のダメージは少なくない。離党した両氏は「希望の党への違和感」も訴えており、東京各選挙区に出馬する希望の党公認候補への都民ファーストの会の支援態勢にもひびが入ることは間違いない。

こうした公示直前まで続きそうな目まぐるしい情勢変化の中で、一部週刊誌の「早出し選挙予測」では「自民単独過半数割れ」などの見出しが躍る。「外からの安倍追い落とし」(田中秀征元経企庁長官)ともみえる小池戦略にメデイアが連動する構図だ。もちろん、現時点での個別の小選挙区での優劣を積み上げれば「自公過半数割れはもとより、自民単独過半数割れの可能性も少ない」(選挙アナリスト)のが実態とされるが、投票率も含め「ちょっとしたことで情勢が激変する選挙戦」であることも間違いない。

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