ホンダ「ステップワゴン」いかつい変身の理由 売れ筋の派生モデル「スパーダ」を大改良

拡大
縮小

HVシステムの搭載で上乗せされるコストは約50万円だ。ノーマルモデルは主婦層など価格にシビアな顧客が多いため、「収益性を考えると、ノーマルにHVを載せるのは難しかった」(齋藤氏)。

加えてスパーダHVには、従来の安全運転支援システム「ホンダセンシング」に、時速0キロメートルから前方の車に自動追従できるアダプティブ・クルーズ・コントロール機能を追加して搭載。改良点は盛りだくさんとなった。

近年のステップワゴンは販売が低迷

1996年に初代が発売され、国内のミニバンブームを牽引したステップワゴン。当初は年間10万台前後の販売台数をたたき出してきたが、近年は4~6万台の水準だ。2015年度に5代目を発売したものの、販売が不発だったことが大きい。

5代目はトランクがドアのように開く「わくわくゲート」をアピールしたが、販売は振るわなかった(写真:ホンダ)

他社がHVのミニバンを相次ぎ投入する中、ステップワゴンにもHVを待望する声が高まっていた。今回、売れ筋のスパーダにHVモデルを用意したことで、日本本部営業企画部の澤本正悟主任は、「他社からの乗り換え客を引っ張りたい」と大きな期待を込める。

スパーダの販売台数がノーマルモデルを上回るようになったのは、2008年度から。およそ9年を経て、ホンダはようやく消費者のニーズに寄り添う決断をした。存在感の薄くなったかつての看板車種へのテコ入れは、吉と出るか。

宮本 夏実 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT