中古車専門店を苦しめる「買い取り価格」競争 消費者はうれしいが、業者は赤字覚悟で勝負

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IDOMが埼玉・大宮に構える車両展示型の小売店舗「WOW!TOWN」。中古車買い取り専業から小売りへの脱却を目指している(撮影:風間仁一郎)

「買い取った中古車をオークションで売却して得られる利幅は、この20年間で半減した」

中古車買い取り業界が不振にあえいでいる。業界最大手、IDOM(旧ガリバーインターナショナル)の阿部直揮・MDチームリーダーはそう語り、ため息をつく。

苦戦ぶりは業績にも表れている。IDOMは2016年2月期に売上高2000億円を突破するなど増収傾向にあるが、最終利益は2007年2月期に過去最高の65億円を計上して以降、ここ数年は20億~40億円の水準で停滞している。

ガリバーが吹き込んだ「買い取り専業」の新風

1994年、中古車業界に「買い取り専業」というスタイルで新風を吹き込んだのがガリバーだった。買い取った車両を2週間以内にオークションで卸売りすることをおきてとし、在庫リスクを最小化して利益を稼ぐビジネスモデルで急成長した。

当時は、買い取り専門の業態が少なかった時代だ。消費者から買い取った車を店頭に展示し、小売りすることで利ザヤを得るビジネスが主流だった。競合していたのは町の中古車販売店。彼らは小売店舗の運営費用がかさむうえ、在庫リスクを考慮して買い取り価格を上げづらかったため、ガリバーに対して買い取りの競争力で劣った。

しかしその買い取り専業モデルの誕生から20年以上が経つ今、大きな壁にぶち当たっている。買い取り専業はこの20年間で競争が激化した。「オークションでの卸相場は昔と変わらない水準」(前出の阿部氏)である一方で、買い取り価格はこの20年間上昇傾向にあった。買い取り事業者の利幅は狭まるばかりだ。

背景の1つには、ガリバーの急成長を横目に、買い取り専業への新規参入が大きく増えたことがある。アップルインターナショナルやカーチスホールディングスといった独立系だけでなく、トヨタ自動車系のT-UPや、日産カウゾーといったメーカー系、そしてオークション業界からの参入も相次いだ。

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